第4章 幼稚園時代
「大丈夫?」
そう、先生が声をかけてきた。
それに、いつもなら安心するはずでも…
あいつは、震えが止まらなかった。
いつも、笑顔で話しかけるあいつが
怯えて、怖がって…
その場から離れようと、逃げようとしていた。
それを見て…
俺は思った。
護りたいって(ぎゅ)
震えながら、裾を握ってきた左手を握り返した。
勝己「大丈夫。
転げかけてたの、俺が支えたから」
恵土「!!」
「そう。よかったわね^^」
恵土「あ…」
勝己「おら、行くぞ(ぐいっ」
恵土「…う、うん」かっちゃんについて歩く
勝己「血が少しついてるから、手で隠せよ(ぼそ」
恵土「!…
…ありがとう(涙目」
勝己「…」
恵土「ありがとう(涙」
勝己「…」
言わなくても、十分伝わってる。
恵土「ありっ;が;」しゃっくり
勝己「いちいち泣くな。ったく(汗&溜息」
どんだけ、抱え込んできたのかも
誰にも言えねえで苦しんできたのかも
解ってっから、いちいち言うな。
ちゃんと、伝わってんだから。
恵土「あっ;りがと;;」
勝己「いちいちくどいんだよ」
何度も言わなくたって聞こえてるっつの。
人一倍涙もろくて
気持ちも感情も、人のためだったら何でも押し殺しやがって…
そういう所がむかつくし…
なんか、ほっとけねえ。
そんだけだ。
そんだけ!!
あの頃の俺は、そう思っていた。
それから、恵土がデクと話しているのを見てイラついた。
最初は、この感情が何か解らなかった。
それでも…
デクとやいのやいのとやってると、むかついてどうしようもなかった。
余計に、腹が立ったんだ。
無個性のくせに、俺よりも下のくせに…
それなのに、いっちょ前に心配してくるのが神経を逆なでさせた。
苛立った。
距離を取られがちだったあいつを、差別しねぇで受け入れてんのは解ってる。
そんでも、余計に腹が立ったことには変わりなかった。