第26章 これからの道
相澤「空無の過去を、職業体験中に調べて知ったが…ダメだな。
伝えたら、きっと…)
それは、お前がその痛みをよく知っているからだ」
恵土「!!」
顔をあげると、その頭を撫でながら見つめるイレイザーがいた。
相澤「だから、余計に苦しい。
割り切ることもできない性格だからな、お前は。
だが…
だからこそ、ちゃんと視えてるはずだ。
目を向けないといけないものがあることも
護る意味の大切さも、憎くてもなお護りたいと願う優しさも。
お前の一部であり
過酷な過去であってもなお、持ち続けた大切なもんだ」
恵土「…」
その言葉に聴き入る中、次の言葉に衝撃が走り抜けた。
相澤「もしお前が悪の道に進めば、止めれる奴はいない。
だが、もし進もうとも
お前の両親は笑って受け容れるだろ」
恵土「!!え」
相澤「きっと…
『それぐらい、いっぱいいっぱいだったんだな』って
お前の気持ちに寄り添って、一緒に笑おうとするだろうからな。
だから…
どっちに進もうが、俺は責めやしねえよ(ぽんっぽんっ)
肩の荷、少しは下ろせ。
お前はただでさえ、背負い込み過ぎるんだからよ」
いつでも、好きなタイミングで世界を殺せる。
壊して、滅することができる。
それだけの力が、自分にはある。
択ばれたが故に…
だから…
憎くてどうしようもないこの世界でも、護る理由を必死に探してた。
でも…
その答えは、至極シンプルなわけで……
相澤「あんな大人(ヒーロー)になりたいって思ったんなら、なおさらな(微笑」
頭に置いた手をのけて、教卓に向けて歩いていく中
相澤「今のお前じゃ、誰も笑わせられねえぞ」
呟かれたその言葉に、父を思い出した。
救助活動は、いつも笑ってた。笑わせてた。
のんきだ、バカだ、などと言われがちだが
不安でいっぱいのそれも、全部それで払いのけていた。
恵土父『大丈夫だ!^^』
どんな状況であっても、それは安心を与えてくれた。
そして、オールマイトも志村さんも…笑ってた。
世界を壊したいか、護りたいかじゃない。
ヒーローになりたいと思ったきっかけは…
初心は……
苦しんでる誰かを見て
『護りたい、救けたい』と思った、心にあった。