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越えてゆく者【ヒロアカ】

第26章 これからの道







私は、本物たりえるのか?


一つの問いが、胸の中に浮かんだ。




何故だろう…

ステインの気持ち、とてもよく解る。


分かるからこそ、否定できない。



それほど追い詰められて

誰も助けてくれなくて、ぶつけ所がそこしかなくなって…




そんな奴を…

行為が悪いからって、悪い奴だなんて思えない。


その、理解されない辛さも、苦しさも…

よく知ってるものだから……




だから、だったのかな…

傷付けたくないって、想っちまった。


だから、必死でセーブしちまった。

勢い余らないように、必死で…




あいつに、私は何をしてやれただろう。


何をすれば

あいつは幸せを感じて、一般人としていられただろう…



考えれば考えるほど、どつぼにはまっていく。




ぶつけ所を失った感情が奔流していく。

その感覚も、よくわかってる。


我慢しきれねえで、人にぶつけるしかないってのも解る。



誰もが否定してくるのなら、いっそ…

そう考えてしまうのも、よくわかる。




わかってるんだ。


だから…

救けたいんだ。



ぶつける先が、人にしかないのなら

社会にしかないのなら…


誰かが傷付かないように、自分にぶつけろって言うしかない。



何度だってぶつかって、向き合って…

そいつが越えられるまで、付き合いたい。


そいつが、自分ってものを取り戻せるように

それまでにあったはずの笑顔を、幸せを感じられるように…。



ヴィランに走るまでに追い詰められた人に


本当に必要なのは…

「逆境に向かい合った時の、越え方」だ。




自分が、間に入って

どんだけぶつけたって、離れちゃいかない。


ぶつけてもぶつけても気が済まないなら

気が済むまで、ずっと付き合う。




あの時(亀裂章参照)…


そうして救われたように

誰かもまた、救い出したい。



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