第26章 これからの道
あの時…
私は、死ぬって感じ取れてた。
だから…
ああするしかなかった。
距離を取って
そうすることで幸せになれるならって……
恵土『どうして…
私なんだよ;;
それで、死んだ時に哀しむかっちゃんを見る方が
よっぽど嫌だよ;
なのに、なんで嫌いになんないんだよ;;
わけ、わかんねえよ;;;』
涙しか出なかった。
けど、本当は嫌だった。
本当は…
いつまでも一緒に、幸せを感じていたかった……
けど
勝己『俺は、お前でなきゃ幸せじゃなかった。
今までも、これからも…ずっとだ』
それは、かっちゃんも同じだった。
幼い時、いつも一緒に笑ってた。
馬鹿げたことから、ずっと…
そうでなければ、やってられなかった。
そうやって目を背けてないと、潰れてしまいそうだから…
楽しいことだけ考えて、一緒に笑っていれば……
そうしていれば、どこか楽になってた。
だから、下らないことばっか考えるようになってた。
そういうこと言って、笑わせたいってなってた。
勝己『お前と、幸せになりたいと思ってる』
でも、そんなの関係ないんだ。
私は…
一緒に過ごしていられるだけで
いつでも、幸せだった。
それを自覚すると同時に
涙が止まらず、なぜか笑いまで込み上げてきた。
ただただ、嬉しかった。
勝己『嫌いになるかよ、そんなんで。
何年、一緒に居たと思ってる。
どれだけ恋い焦がれてきたと思ってる?
…俺は、何があっても
お前となら、どんな苦難も苦しみも…
幸せに変わるから』
どんな時でも、幸せだって思ってた。
それは…
私も、同じだったから。
だからっ…
笑いと涙が、止まらなかったんだ。
勝己『お前のためだったら
何でも耐えるし、受け入れるって言ってんだ。
…だから
帰って来い』
だから…
その真っ直ぐな言葉に、私は救われた。
前を向いて、生きて行こうって思えたんだ。
それと同じように
全力でぶつかり合って、殴り合って、救われたように…
いっぱいいっぱいで、どうしようもないヴィランの心も
救けたいって、想った。
護りたいって想った。
幸せを感じて、笑ってて欲しいから――