第21章 見舞い
そんな時…
焦凍「…(ぎゅう!」
恵土「…ショー、ト?」
俺は、恵土を抱き締めた。
ふいに抱き締められて感じた温もりに
恵土は目を丸くして、言葉が止まった…
焦凍「…
もう、強がらなくていい。
無理をしないでいい。
自分を、大事にしろ。
無理に、言い聞かせようとするな」
恵土「!!
そんなこと、ないよ(震)
大丈夫なんだ。
いつか、絶対話せるから。
絶対、また会えるから。
大丈夫、だからっ;;」
その悲痛な涙声は…
いつもと違って、説得力に欠けるものだった。
焦凍「…泣きながら言われても…説得力ねえよ」
その頭を優しく撫でると…
恵土「うっ;ひっく;ぐすっ;;
うあああああああああああああっ;;」
きっと、今すぐ話したいんだろう。
しがみ付くように抱き着きながら、泣きじゃくっていた。
それに俺は…
抱き締めたまま、落ち着かせようと背を撫で続けていた。
後で、落ち着いた時に聴いたが
俺の母親と、恵土の母親の雰囲気が似ていて…
会いたい、話したいという感情が爆発してしまったらしい。
無理やり押し込めて押さえようとしたらしいが
俺の言葉が、止めになったそうだ。
後先考えず、感情が暴発してしまったと言っていた。
焦凍「それでいいんじゃないか?」
恵土「…え?」
焦凍「話さないまま抱え込んでいても、辛いだけだろ」
恵土「!…
そうだな。ありがとう^^
やっぱり…焦凍は優しいよ(微笑」
そう返されたが…
やっぱり俺は……
焦凍「礼を言うのは、こっちの方だ。
お前が居てくれて…
本当に、助かった(微笑」
急な誘いでも合わせてくれるお前に
いつもバカみたいなことやって、笑わせようとしてくれるお前に…
俺は、救けられた。
「ただ、強がってるだけだ」
相澤先生が、昔に言っていた言葉(54ページ参照)……
その意味が、少し解った気がした。