第21章 見舞い
が、デッ君は
それが、悔しくて仕方がなかった。
『全力も出さないで一番になって
完全否定なんて、ふざけるなって今は思ってる!
だから…僕が勝つ!!
君を超えてっ!!』
そして…
デッ君との戦闘中に幼い頃を思い出した。
きっかけは
『君の!力じゃないか!!』
その言葉と、彼のがむしゃらなまでの行動と発破によって…
母親を傷付ける父親のようにはなりたくないと、母に告げた時…
頭を撫でながら言われた言葉が、思い出された。
それは…
『でも、ヒーローにはなりたいんでしょ?
いいのよ、おまえは。
血に囚われることなんかない…
なりたい自分に、なっていいんだよ』
いつの間にか、忘れてしまっていた。大切な言葉――
その言葉と共に、炎が解放された。
オールマイト「「個性」というものは、親から子へと受け継がれていきます。
しかし…
本当に大事なのは、その繋がりではなく…
自分の血肉…自分である!と意識すること。
そういう意味もあって、私はこう言うのさ!
「私が来た!」ってねb」
笑いながら語るオールマイトの映像を、テレビで母と共に見ていた。
どうしても、父親が許せなかった。
それでも…
あの一瞬、父親を忘れた。
そして…
それらを清算するために、今―
未だに病院に居る母の下に、ショートは訪れた。
「自身の存在が母を追い詰める」という想いから
入院以降、一度も会っていなかった母親に会いに行き
たとえ母が望んでいなくとも彼女を救け出すことを決めた。
そして母との対話により
「何にも捉われずに進むことが母親にとっての幸せであり救いである」と知ったショートは
左の力を含めた「自分の体」で
再び全力でヒーローになる道を歩み始めることにしたらしい。
そうして…
時は進み、休み明けの日となった。