第21章 見舞い
恵土「気にするなって^^;」
そう答えてベッド近くの椅子に座り、インゲニウムと向かい合った。
恵土「容体は…」
インゲニウム「…足の感覚が、ない。
医師によると
リハビリ次第では、治る可能性が皆無ではないらしいが…」
恵土「…今は安静に、治すことに努めた方がいいよ。
怪我が治ってからの方が、リハビリは効率化される。
実はさ…
例の、幼稚園体験入園の時に、左腕の神経を切られたんだ。
でも、そんな自分が今では完全に治った!
時間はかかるけど…治らないわけじゃない。
だから…
諦めんなよ、インゲニウム!」
インゲニウム「…ありがとな、本当に(微笑」
恵土「…なんか、ごめんな;
大したこと言えなくて;」
小さい時…
幼稚園に体験入園した時、生意気だと年長組に刺され
治ったのを見た途端、周囲が面白がって刺しまくってきたって話だ。
周りには、うまくごまかしてはいたが…
左腕の神経を、完全に切られた。
でも、風で操って動かしていた。
そのせいで
元来左利きだったはずが、右利きになった。
今でこそ、完全に治ってはいる。
痛みもあれば神経もあって、ちゃんと動かせている。
そのことを、左腕の件まで話したのは…
イレイザーと、志村さんぐらいだ。
そして今、インゲニウムにも飯田にも話した。
インゲニウム「いや…
どこか、諦めそうになっていた自分がいた。
助かるよ、本当に(微笑」
恵土「…そっか。
なら、よかった(苦笑)
ちょっとでも、助けになれたなら…嬉しいよ。
無事、とは言えないけど…
生きてて、本当によかった。
それが…何よりの、朗報だよ」
声を詰まらせながら
目を伏せながら呟く中…
その頬を、右手で撫でられた。
ベッドに伏せたままで、手を伸ばして……
インゲニウム「お前は…本当に、優しいな^^
そんな顔する奴がいるか(苦笑&なでなで」
恵土「ぐすっ)…;」
何でか、人のことなのに泣けてきたのは…
きっと、「大切な人」だからだと思う。
目に涙を浮かべる中、そっと撫でられ…
その温かさに、また安心して
涙が、静かに零れ落ちていった。
そしてそれは…
飯田家の人たちにとっても、同じだった。