第19章 誕生
白い光が、視界に拡がった。
覚悟して、動かない選択をした。
…だが、予想していた痛みは
いつになっても、襲ってはこなかった。
代わりに、私を襲ってきた違和感はといえば…
温かさが、優しく私を包み込んでいたということだけだった。
元来、意思とは心から生まれる…
心から生まれ
周囲のエネルギーに伝播することで、一番身近な風などを自在に使えていた。
だが、反発は変わらなかった。
反発を得るにあたり、ある境界線がある。
空気は圧縮されれば、解き放たれようと反発する。
それは、私の力を使う場合であっても変わらない。
無論、空無にとっても…
でも…
突如として、それが一線を画した。
意思を送ったエネルギー自身に、自我が宿った。
それによる現象だと気付いたのは…
空気を圧縮した直後、全く反発されず
押さえつけないようにしたとしても
放とうとしなければ、いつまでもそのままだったことだった。
まるで…
自ら、その変化を私にゆだねているかのように……
その直後…
光となった風が、徐々に形を成していった。
精霊のような、眩く…
温かな存在に……
『私も…大好きだよ』
恵土「!」
私を護ったであろう存在に、驚く中
『優しく笑顔を向けるあなたが、ずっと大好きだった。
どんなに怒りに目が曇って、世界を壊そうとしても…
必死に、それを押さえ込んで、護ってくれた……』
そんな中、顔を合わせていると…
相手の意思と共に、想いがなだれ込んできた。