第17章 雄英体育祭
私も、かっちゃんママも…
歯を食い縛りながらも、涙が次々に零れ落ちていく中……
「!!」
「…いこ」
そう言い合って、走り去っていく子供の母親二人を見送る中…
勝己母「っ;」
涙を流すかっちゃんママの姿を、私は初めて見た。
恵土母「あ;(じわっ」涙目
ぎゅう!!
勝己母「大丈夫…
私は、ずっと味方だからねっ」
涙声で語られる声と
震えながらも強く抱き締められる温かさに…
恵土母「うん;(ぽろっ」
涙を流しながら、私のお母さんは頷いていた。
かっちゃんやデッ君と一緒じゃなかった日で
(たまたま、既に山へと遊びにでかけていた)
私は、家に帰った。
すると…
お母さんは既に帰っていた。
きっと、走っていたんだろう。
そして、血がついた私の顔を見ると…
その場にしゃがみながら、口元をおさえて涙を流した。
それも、震えながら…
『やだよ。
そんな顔が、視たいんじゃないよ』
口にできない想いが、胸の中で渦巻く。
恵土「…おかあ、さん?」
おずおずと声をかけると
恵土母「わああああっ!!;」
涙を流しながら、強く抱き締めてきた。
滅多に泣かないお母さんが、泣いた。
お母さんまでもが、泣いた。
一番、泣いて欲しくない。
大切な人に…
恵土「泣かないで。
泣かないでよ。
お母さん…」
背中をさすっても
泣き止んではくれなかった。
恵土母「ごめんね;ごめんねっ;;」
血が出たであろう場所を、しきりに撫でた。
恵土「お母さん、痛くないよ?大丈夫だよ?」
恵土母「大丈夫だからねっ;(さすさす」
それよりも、心が痛いよ
『お母さん…』
ふと顔をあげると
涙を流しながら泣きじゃくる顔が、目の前に見える
『みんな…』
石や罵倒を投げつける同世代の子供が、瞼の奥や脳裏に見える
『私がいると…
みんな、嫌な顔をする』
痛切な表情になりながらも、お母さんの背を優しく撫でる中…
『私が居なかったら
そんな顔、しないで済んだのかな?』
『誰もが、幸せそうな顔をして
笑っていられたのかな?』
そして、お母さんに抱き付いたまま
その腕の中で、瞼を閉じた――