第15章 悪夢
震えながら、弱々しく声が響いた。
その意味も、よく解っていた。
無理やりでも、聴きだした。
恵土の過去を…
それまでに、どんな思いをしてきたのかも。
あのUSJ事件の後で、必死に…
雄英の先生たちは口が堅くて
終電に乗り損ねるぐらい、遅くなった。
それでも…
知りたくなった、理解したくなった。
入院先を聴かないという条件と引き換えに
幼馴染の俺ならということで、聴かせてもらった。
けれど…
知ったそれらは、常人で耐えられるようなもんじゃなかった。
と同時に、俺が傍に居ればそんな目にはとも思った。
歯がゆくて…
何かしたくても、何をすればいいのか解らない
異様な感覚にとらわれていた。
勝己「あほ抜かせ。
そんなの…どっちでもあるだろうが」
何で、震えてんだ。俺は…
何で…
恵土「怖いよね」
勝己「あ?」
恵土「怖いよ、私も。
いつ、死ぬのかなってさ(苦笑」
勝己「!!」
その時、気付いた。
神の力を使った影響で、半年後には何もしなくても死ぬことを。
恵土「…
かっちゃん、ありがとう。
私、かっちゃんやデッ君には話せるや^^
エージにもショートにもさ、ちゃんと話せるんだよ。
おっかしいんだ(苦笑&後ろ頭かく)
同級生とは、話せないはずなのに…
何でか、口を開けちゃうんだ。
かっちゃんが、いてくれたからってのが
一番、心強かったんだと思うんだよね。
だから、かっちゃん…
ありがとう^^
本当に……
何度言っても、足りないよ;
小さい時から、ずっと…
救けられてばっかだったんだから^^(ぽろっ」涙
両目から零れ落ちる涙に
恵土に顔を向けた時に気付いた。
恵土「いいもんだろ?ヒトってのもさ。
甘いって言われるかもだけど…
やっぱ好きだ、私^^」
涙ながらに紡がれる言葉は…
とても、言い表わしようがないほど…
濃密な想いが込められているのが、よくわかっていた。
何年も続いた苦難と共に
今もなお続いている苦悩…
その果てに、自ら出した「答え」だから……
余計に、目が離せなかった。
抱き締めたままであっても…
離せないままでも、勝手に意識も向いた。