第15章 悪夢

それでも一度だけ失敗した。

校舎を消して、再び戻したことだ。


でも…

やっぱり、言われなきゃわからないのは変わらない。



いじめっ子はいじめっ子で思った所があって

目につける所があって


それを言わないまま、一方的に嫌なことをしてきた。



言われなきゃ伝わらないし、改善の仕様もない。



それでも、言われないままで

一方的に拒絶されて、周囲にも伝播されるばかりだった。




そしてそれは…

普通の人なら、耐えられるはずのないものだと評価された。


発狂している様子からも

それほどまでに追い詰められていた精神からも…




後になって、偉い先生とやらが声をかけた。


「よく耐えたね、偉かったね（なでなで」




激情に駆られた。


その一言で済まされるほどの日々なら、どれほど楽だったことか…




何も要らない！

もう、何も望まない！！



人間なんか…

消えてなくなればいい！！！




そんなよこしまな争いを生み出すのは、人間だけだ！！！！




悪夢に出る度、何度でも思う。


それでも…

人も、動物も生きている。



全ての苦悩の果て、色んな感情の積み重ねの果てに

私たちは、生まれ落ちてきた。


だから…

殺していいはずがない、傷付けていいはずがない。



言い表わしようのない激情が、溢れ出してくる。

どこにもぶつけられない、ぶつけ所がない。


それでもなお、自分の胸の奥に押し込め続ける。



限界を超えてもなお…

一つの、想いに込めて…


繰り出さねばいけない。



エクシードに、そう教わったから…

シンパシーに、受け入れる大切さを知ったから…


だから……

結局は、変わらないのかもしれない。



泣きそうな気持ちになった

涙が溢れても溢れても止まらないのは、きっと…





きっと…

それまでの苦悩が多過ぎるだけじゃなく、人に話さず抱え込み続けてきたから。


その分、その感情までもが一緒になって主張しているから…




どこへ行こうとも悪者扱い、

人助けをしようとも嘘呼ばわり、


やる事成すこと、全部が悪い。



無視してきたあっちが悪い、わざとやったんだ、死んじまえ…


それらが何度でも殺してきた、自分を。

自分自身は、価値のないものなのだと…