第15章 悪夢
ああ…
なに言っても無駄なんだ。
先生も、生徒も…同じだった。
どっちにしろ
誰も、救けてくれないんだから
それに気付いたのは
いじめに遭ってから、数か月経った後だった。
詩の暗唱でも
途中で
「間違ってる(ぼそ」
終わってから
「間違ってたー!!そうだろみんな!!」
『そうだー!!』
先生「そう言うと思って、先生はちゃんと聞いてました」
「えこひいきー!!」
ギャーギャー騒がしい中、わかった。
誰も、救けちゃくれない。
教室の中では
その当時、教室で飼われていた亀だけが癒しの存在だった。
理科の授業では
背中の手の届かないようなところに器具を付けられたり
好きな人は誰?と聞かれて
恋愛的な意味ではないのに、~君に恋心抱いてると言われたり
挙句の果てには、その勘違いされたまま
同じクラスに居る~君本人から
クラスメイトがぎゃいぎゃい言いまくっている中で、断られたり
嫌われるのが普通だと言われまくっていたし
それが、私にとって普通となっていった。
その時、私は初めて泣いた。
勘違いされたことに?
さらし首みたいにされたことに?
その~君は
ジャングルジムから転げ落ちそうになって、自力で助かった時
心配してくれた、初めての男の子だった。
気にはなって、好きであっても
それはまだ「恋」とは呼べない、未熟なものだった。
いや…
同じクラスメイトでありながら、誰にも救けようともされない時点で
既に、気付くべきだった。
こんな自分は、空気よりも薄く
何よりも、非常に
存在しちゃ、いけないものだったんだから。
一緒に居ようとはしなかった。
だって…
誰もが、嫌な顔をするから。
いじめっ子を気にしてかなんて、解らない。
でも…
思ったことを、言えなくなってしまった。