第15章 悪夢
次第に
学校では、何も話さないのが日常になっていった。
先生に質問をする時以外、何も口にできなかった。
自分から、思った話題を口にすることも出来なくなっていた。
声が出せない、声が出ない。
どうあがいても…どう叫ぼうとしても……
涙が、溢れ出そうになっても
耐える以外、何も思い浮かばなかった。
弁解しようにも、弁解できない。
すぐ教室を出て、伝えに行きたくともできない。
何でか、身体が動かない。
怒りばかりで、口も動かない。
何で…?
どうして?
そればかりが溢れ出てか
それでも、理由だけははっきりと解っていた。
気に食わないこと
先生とばかり仲良くなって調子に乗ってる等…
違う…
先生に解らない所を質問できるのは、ただ知りたいって欲求が強いからだ。
そっちと話すのができないのは…
一緒に居たくない、それそのものが辛いから。
最終的には…
いじめられていることを、暴露したとしても
救けられることなどなかった。
逆に、それらをよそにして
周囲だけは幸せそうに、笑っているだけだった。
自分には関係ない。
苦しんで、傷付いて…
それをすぐ傍目で視れる距離にあって、何もしない。
ただ、今を楽しんでいればいい。
そんな中であっても、続く言葉は…
死ね、学校来たら殺すぞ、きしょい、きもい、消えろ、いなくなれ……等々
どれもこれも
自分が居なくなることを望む声ばかりだった。
否定することは、許されなかった。
拒否することも、出来なかった。
周囲は、誰も否定しない。
その意見を許容している。
ただ遠巻きに見ていながら、視て見ぬ振りをするだけ。
『救けて…)…』
声に出したいのに、出せない。
「お前が悪いんだろ!!」
続くいじめ
否定される人格、居場所、存在…
机の中身は椅子の上に捨てられ
「あれ俺がやったんだぜ(げらげら」
工作で作った車も
「速く走れるようにしただけだろ」
勢い余って、壊されかけた。
「田中さんカンニングしましたー」
「俺のプリントぐしゃぐしゃにしてから回したー」
また、してもいないことを次々に言われていく。
そんな毎日が
学校における、普通の日常となった――