第14章 亀裂
そう言いながら、かっちゃんは…
恵土ちゃんの目を見て、手を伸ばした。
あの時と、同じだった。
恵土ちゃんがこけた時
先生に誤魔化しながら、救けていた所と…
幼い当時の二人と
今の二人が、ダブった。
恵土「っ;;」
勝己「生きろ」
短く言い放たれる言葉は
その胸に、確かに響いた。
恵土「ッ…;
うんっ!;」
勝己「…(微笑&撫」
それにしゃっくりがあがりながらも
涙をぬぐいながらも
頷きながら、短く答えた。
その想いもまた、同様に胸に響いてきて…
ズシッと、重みのある言葉が届いてきた。
それに、かっちゃんは満足そうに
差し出した手を、恵土ちゃんの頭に乗せて
薄く微笑みながら、優しく撫でた。
恵土「生きろって言ったんだ。
責任っ、とれよ?」
声を、身体を震わせながら
引きつりながらも、放たれた。
その言葉は…
どこか痛々しくて、儚くも視えた。
両手を地面につき
上体を起こしながらも、両目を瞑って涙を流しながらの言葉…
勝己「…おう」
余計な言葉は、何も要らない。
恵土「!!(ぶわっ!」涙
その言葉に、意味に…
恵土ちゃんは……
恵土「…は…ははっ;(微笑)
なんだよ、それ…
悩んでた私が、バカみたいじゃんか^^;」
笑いながら言葉を返していた。
勝己「ああ。
だから言っただろ、ボケって。今更言うってアホか」
恵土「やっぱ腹立つわ!このっ!!・・(拳握」
うん、殴っていいと思う;
勝己「やっと戻ったな(苦笑」
恵土「…うん(微笑」
勝己「…もう、どこにも行くな。
一人で抱え込んで、行こうとすんな(ぎゅう!」
恵土「…うん。
ありがとう…かっちゃん^^」
勝己「いつものことだろ、気にすんな」
抱き締めながら言うかっちゃんに
恵土ちゃんは笑って、そう返しながら抱き返した。
その時…
心中に立ち込めた暗雲が晴れたように
殴り合った時から続いていた曇り空に切れ間が生じて
太陽の光が、二人を明るく包み込んだ。
それらの光景は…
とても温かで、とても口出しなんて出来るわけがなかった。
そして同時に…
『幸せになって欲しい』、『長生きして欲しい』って想った。