第14章 亀裂
それから
恵土ちゃんが、うつ伏せに倒れたと同時に…
かっちゃんは、尻餅をつきながらも
互いに、真っ直ぐ向き合っていた。
恵土「っ;」
勝己「!!;(ぎょっ!!」
突如として…
恵土ちゃんの目から、涙が零れ落ちていった。
それに、かっちゃんは目を見開きながら驚き…
勝己「なっ(汗」
その言葉しか出てこなかったんだと思う;
恵土「…
何で、私のことなんかっ;」
勝己「…
逆に言われたら、どう思う?」
息を荒らしながら、詰まらせながら紡がれた言葉…
それは、やっぱり……
恵土「嫌だ。
でも…
何で私なんだよ;;
他にも、いっぱいいるだろっ;
私は、いずれ死んじゃうのに;
他の人よりも早く、死ぬから;
その分、幸せになんてできないからっ!;
だから!!
身をひこうって…
居なくなった方がいいって;;
なのに、何で?;
どうして!!
どうして…
私なんだよ;;
それで、死んだ時に哀しむかっちゃんを見る方が
よっぽど嫌だよ;
なのに、なんで嫌いになんないんだよ;;
わけ、わかんねえよ;;;」
両腕で、地面につきそうになる頭を支えながらも
ぼろぼろと零れ落ちる涙…
両目を瞑りながら零れ落ちた涙は
頬を伝って、地面を濡らしていった。
勝己「……
俺は、お前でなきゃ幸せじゃなかった」
恵土「!!」
勝己「今までも、これからも…ずっとだ」
顔をあげると、真っ直ぐに視線はぶつかってきた。
真っ直ぐな、真剣な眼差しに…
恵土ちゃんは微笑みながら、涙が再び零れる。
勝己「お前と、幸せになりたいと思ってる」
きっと…
かっちゃんが、胸中の想いを言葉にして
真っ直ぐにぶつけられる相手は
恵土ちゃん以外いないだろうと、その時分かった。
勝己「嫌いになるかよ、そんなんで。
何年、一緒に居たと思ってる。
どれだけ恋い焦がれてきたと思ってる?
…俺は、何があっても
お前となら、どんな苦難も苦しみも…
幸せに変わるから」
恵土「!!(じわっ」
勝己「お前のためだったら
何でも耐えるし、受け入れるって言ってんだ。
…だから
帰って来い」
短く言い放たれた言葉は
静かに響いた――