第14章 亀裂
それらの光景に、胸が温かくなって
どこか、泣きたい気持ちになった。
涙ぐんで、落ち着いてから…
きっかけは、一つの言葉だった。
麗日「あれ?飯田君は?」
切島「そういえば飯田も来てたよな?」
出久「一体どこに…(きょろきょろ)
っていた!;何やってんの?!・・;」
飯田「しー。
今ビデオでとっているんだ、少し静かにしてくれ。音を拾っているんだから」
出久「何で今!;」
飯田「最高の絆だからだ(キラン」
出久「そういう問題!?;」
それから後…
「非常口」以外に、「ウオッチマン飯田」と言われることになったらしい;
そしてワイワイと騒いでいると…
勝己「何してやがる」
草藪を覗き込んでこられた。
皆『ギックゥ!!!)!!!』
その瞬間、寿命が縮んだような錯覚に陥った。
視ちゃいけないものを
二人だけのはずだったものを、覗いてしまったから…
出久「え…
あ、かっちゃん(だらだら」
勝己「…覗きならばれないようにしろ」
それでも、どうでもよさそうにそっぽ向いて
かっちゃんは、自分の家に歩いて行った。
恵土ちゃんを、その背に背負って…
出久「あれ?恵土ちゃん、どうして」
轟「見てなかったのか?」
八百万「あの後、ひとしきり笑い合って…
それから、爆豪君に寄りかかって眠ってしまいましたわ」
出久「!
あ…そうだったんだ。
(大丈夫かな…」
少し気になる中、後でLineで聴いてみた所…
大丈夫とのことだった。
クラスのみんなが、心配に包まれた中
生きようとする姿勢が見られた。
そのこと自体が、嬉しく感じられる一日だった…
死ぬほど心配して
切羽詰まりながら、涙を呑んで決断して
叫んで、殴り合って…
和解し合った。
何も珍しくないはずのそれらが
とても輝かしく視えたのは
その光景を見ていて、どこか救われたからかもしれない。