第14章 亀裂
互いに
先程まで強く握り締めていた拳を振り合う中
それは、どちらの顔面にめり込んだ。
麗日「うわっ!;」
出久「クロス;」
思わず、草むらの影から見ながら各々呟く中…
恵土ちゃんの左拳が、かっちゃんの右頬に
かっちゃんの右拳が、恵土ちゃんの左頬にめり込んでいた。
それでも…
恵土&勝己『うおおおおー!!!!』
殴り合いは、止まらなかった。
『ただの、意地だ』
そんな言葉が聴こえて来そうなぐらい、単純なぶつかり合い…
それでも、凄く重みがあって…
どこか、目を離せなかった。
それから、数分後…
轟「やっと見つけたと思ったら、殴り合いか(こそ」
緑谷「あ、轟君」
轟「やっぱり放置はできないだろ。
あんなことを聴かされればなおさら」
そう、切島君や飯田君も来てくれて
事のあらましを、こそこそと話し合っていた。
無論、納得できるものだったんだけど…
八百万「…普通、あそこまで殴り合います?」
轟「それだけ譲れないんだろ(淡々」
殴り合いは、1時間ほど続いていた。
勝己「ぜえっぜえ」
恵土「ぜえっぜえっ」
どっちも、辛そうだった。
でも、それ以上に辛いのは…
お互い、本心からの言葉を言えなかったことだと思った。
それでも…
黙って、見守り続けていた。
やっぱり、二人の問題だって解ったから。
切島「あー!もどかしい!!」
出久「しー!ばれたら大変なんだから!;(こそこそ」
口に指を当てながら静止する中…
二人は、互いに殴ろうとし合いながらも
やっと、その場に跪いた。
恵土「はあっはっ!」
勝己「っ!(くそっ、足が震えてやがる」
ずっと続いた殴り合いが、やっと終わった。
お互い
100%以上の『本気の拳』を食らい合い続け…
共に、限界となって
最後の拳が炸裂し合うと同時に、跪いていた。