第14章 亀裂
相澤「短くて半年後、こいつは死ぬ」
『!!!』
夕焼けの灯りが差し込む中…
僕等の思考は、停止した。
切島「………え?」
相澤「どんだけ長く持ったとしても数年だけ。
卒業までは持たねーよ。改善法も治療法も皆無だ。
それを見据えた上での、特例だ。
時間は有限、あいつの場合は命も有限。
…神の力を手にした代償だ。
この力を使ったものは
その時点から身体が負担に耐えられず、寿命がなくなっていくそうだ。
浸食されていく形で、5歳から始まっている。
それでもUSJでは使えていたのは、決着をつけるためだ。
だが…それも失敗した。
そして今…限界が近付いている。
その証拠が…
これだ」
眠りこけている恵土ちゃんを指さしながら
そう指摘する相澤先生に、僕等は思い返していた。
確かに、いつもならふらついたりしないのにふらついてたし
授業だって、いつも真面目に受けていたのに
自然と意識が消失するみたいになってたし。
段差もないのにこけそうになってたし
咄嗟に踏ん張ってたから、細かく言うとこけなかったけど…
その話を聴いて、解った。
恵土ちゃんは、残り半年しか生きられないことを…
それを見据えての、特例なんだということも。
おかしいとは思っていた。
怪我ももうないのに
それなのに、目を覚まさなかったから。
勝己「……………」
出久「…かっちゃん?(ほうけてる;」
峰田「え?…
マジで?;あんなに強いのに!?」
飯田「本当、なんですか?」←声つまってる
相澤「ああ、全部本当の話だ。
信じたくないなら、信じなくてもいい。
それと、前にも言ったが忘れろ。
それで態度を変えるな。
感付かれると面倒だ。
何で言ったかとかわめかれるからな。
このことは…
誰にも話すな」
そう言いながら、相澤先生は出ていった。
教室に残されたのは…
放心状態のまま固まっているかっちゃんと
眠りこけ続けている恵土ちゃんと…
事実を知って
その重みに押し黙っている皆だった。