第12章 各々の胸に
何故、神は俺を生み出した?
世界を生み出して、消えゆく中…
最後に、俺に向けて微笑んだ?
何故、俺は死ねないんだ。
憎まれて、利用されて…
それだけのはずだというのに……
何で、存在しているんだ?
主は死んだというのに
何でまだ…
自我がありながら、生き永らえているんだ?
その意味が解ったのは…
恵土……
お前と、出会ってからだった。
『自分が、そうしたいと思ったからだ(微笑)
お前なら、きっと…
自分のためだけに動くことはない。
だから…
俺の力を、お前ひとりに託す。
お前そのものの、力として…』
恵土「!!そんなことしたらお前が!」
『ああ。
それでもいい』
恵土「何で!!
たくさんの時を過ごしてきたんだろ!!??
大変だったんだろ!!??
お前のために生きろよ!!」
『それが…
その道が、お前のために生きることだ』
そして、思念を飛ばした。
同じ体の中、力と魂とで分かれている自我
力として生み出され、どう思っていたのかも…
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初めてだった。
『思うように、生きていいんだよ』と言われたことも。
『なあ、何がしたい?』
自分の生き方を、望まれたことも。
『お前となら、何でもいいぞ^^//』
生きている『人』として、接されたことも。
どれだけ憎んでいても、憎み切れず
それほどに愛して、それ以上に想って…
お前は、人の幸せを望んだ。
人が生きていられるこの世を、望んだ。
生きてさえいれば、笑える。
幸せを、いつしか手にできる。
自分自身が、両親が
友と過ごした日々が、そうだったように……
そう、信じたお前を…
俺は、信じたい。
お前の力に、俺はなりたいんだ。
力として、向き合うものばかりだった。
自身のものだと自負し、望んだままに使うばかりの日々…
そんな中に現れた、たった一つの光明が
他でもない、お前だったのだから。