第12章 各々の胸に
世界を意のままに操れる力…
それは、この世界と同時に生まれた。
そして、その力は『固有の意思』を宿し
力を使う主を、自身で選ぶ。
それによる宿主への偏見、差別、迫害…
それらによって、力は憎まれたりもしたそうだ。
私もまた、同様の目に遭った。
だが、私はそれでも
この力を、それで憎むことなんて出来なかった。
知っているから
相される側の気持ちが、よく解っているから…
だから、差別なんて出来なかった。
ただ一つの、大切な存在だってことぐらいは
小さい頃から、よくわかっていたから。
憎むよりも何よりも…
力そのものを憎むのは間違っていると思った。
だって…
今まで、たくさん救けてくれた。
死ぬはずだったところを、変えてくれた。
ただ一人、ずっと傍から護ってから―
だから…
言ったんだ。
『ありがとう、相棒^^』
すると、風は
しゅるしゅると渦を巻いて…
一つの形になって
私に、すりすりとすり寄ってきた。
『きゅう^^//♪』
小さな小さな人形……
それが、一つの和解。
おかしいと言われた時
ののしられた時、言われたかった言葉…
『おかしくない。お前はお前だ。
そのお前と、俺は一緒に居たいんだ!』
それが、どんな言葉かは解っていた。
だからこそ、救けたいって思ったんだ。
ずっと一人で、耐え続けることほど辛いことなんてないから―
意思があるということは、心があること。
心があるということは、感情を宿していること。
感情を宿しているということは…
一人だと、耐えられないそれまで宿しているということだから……
だから…
『愛してるよ^^//(にっこり』
この世の全てが『大切な存在』なんだって、自覚した。
『^^//(すりすり』
すると力は、安心したように笑ってすり寄った。
私もまた、それにすり寄っていた。
憎悪、悔恨、絶望
愛情、感謝、切望…
全ての感情があってこそ
今、確かにある幸せへと辿り着けたから―