第3章 個性把握テスト
恵土「…;
はあ(溜息)
まあいいや、数字に出なくても。
とりあえず、全力でやろう」
そう言って、上体を少し前にかがませた。
でも
手を土につけることはなく、腰を落とすだけだった。
切島「お?次も測定不能か?」
勝己「知るか」
そう溜息をつきながら、かっちゃんが言う中
「いちについて」
恵土「すうううう」
息を深く、ゆっくりと吸い
「用意」
地面を弱く蹴って、僅かに上空に
「どん!」
恵土「かっ!)…」
掛け声と同時に足が地面に着き、真剣な眼差しで目を見開いて
ひゅっ!!
だぁん!!
開始と同時に、二つの地点から土煙が巻き上がった。
恵土「よし!!いい感じ!(微笑&ぐっ!」
拳を握って
微笑みながら、手ごたえ十分といいたげに言った。
僕等の目に見えたのは…
出発地点で立ってた状態から一瞬で消えて、ゴール地点で着地する所。
その両方が、同時に土煙が上がっているように見えた。
だから…
「測定不能」
『そりゃそうなるわ!!;』
勝己「何やりやがったてめえ!!
無個性で何でそんなに速く走れんだ!!??
ずるして使ってんじゃねえだろうな!!?」
恵土「いやいや。普通に創意工夫しただけだよ」
そう詰め寄られる中、手を横に振りながら答えた。
切島「それだけでそんなにできるのか!?」
恵土「頷)うん。
まず、上空に跳んでたでしょ?
その時、全身の力を抜いた状態にすることで動きを最速に
そして地面に足が着いた瞬間
その最速で蹴る動きを加えると同時に、全身の力を集約させながら解き放つ。
それらによって
地面を蹴る力を『最速かつ最大』のものにする。
運動エネルギーは、1/2×体重×速度の2乗だからね。
あとは普通に、その一瞬だけリミッターを解除したり
力の流れや動きの流れを利用すればできるよ。
個性だけじゃなく
個性を使わないで、力をどれだけ生かせるかが大事なんだって
父さんから教わってたし」
切島「おおおー!!(キラキラ&拳握る」
勝己「…」
それらの説明に
僕等はただただ唖然としていて…
切島君だけは、瞳を輝かせながら聴き入っていた。