第11章 真実
死柄木「…凄いな、あいつ」
黒霧「捕らえますか?」
死柄木「そうだな…
うん、欲しい。
あの『空間ごと無効化させる個性』よりも遥かに強力で
なおかつ、それよりも汎用性も高そうだ」
黒霧「では、ヒーローが来る前に捕らえましょう」
死柄木「ああ、そっちは任せるよ」
それを見ていた三人の生徒がいた。
その帰ろうとする様子と会話を見て、二人が気味悪がっている間
沈んでいく恵土の頭上に、黒い霧のようなものが浮かんだ。
死柄木「あ、そうだ…
帰る前に、平和の象徴としての矜持を
少しでも!
へし折って帰ろう!!」
数十メートルもの距離を一瞬で詰め寄り
蛙吹に向けて手を伸ばし、崩壊の個性を使おうとする。
と同時に
黒霧もまた、アジトへ向けて送ろうと使いだした。
が…
それらは、一つの個性によって押さえられた。
死柄木「ちっ。
ホント、カッコいいぜ」
相澤「くっ」
死柄木「イレイザーヘッド」
触れてもなお、個性が発動しない。
そしてそれは…
その視線に巻き込まれる形でいた黒霧もまた
イレイザーの個性によって
すんでの所で消され、使えなくされた。
恵土「!…
(水中?)ごぽっ。
!イレイザー!!」
水上に跳び上がると同時に、視えた光景は
相澤の頭がつかまれて
脳無によって、地面に叩きつけられる直前。
その瞬間
すぐ近くの空気に対して
空間ごと、その瞬間における相澤の形状を模した結界を張り
その相澤のいる地点の空間と、そのまま入れ替えた。
相澤「っ…恵、土?」
意識がもうろうとする中
その背を見て、呟かれる言葉…
恵土「黙って寝てろ」
それに返ってきた言葉と、僅かに小さく見せた微笑みは
今までの修業における、戦いの最中で見せたそれだった。
変わらぬそれを見て…
相澤「…ふっ」
思わず、安心したかのように笑い
意識が薄れていき、最後には気を失った。