第11章 真実
僅かな光明から、希望は生まれた。
絶望の淵、漆黒に満ちた常闇の中
それは明るく照らす。
温かく包み込むそれは…
ヒトの温かさ、温もり、明るさ……
闇がある中であってもなお
それらを、ずっと持ち続けること。
それが、いかに難しいかはよくわかっている。
先代だって、その全てに絶望して
山の奥深くに逃げ出し、動物たちと生きていくことを望むほどのものだ。
それでもなお、立ち上がった。
受け入れてくれる人がいたから、立ち直れた。
愛し、慕ってくれる人がいたから居れた。
『自分』という存在と、きちんと向き合い
それでもなお、大切に想ってくれる人と出会えた。
そして、私もまた……
(『俺が、護るから』
そう言ってくれた、かっちゃんの姿が浮かぶ。
守るために、強くなることを誓った時の
警察で視られた、あの事件後の姿もまた…)
だから…
私もまた、先代の気持ちもよく解る。
恵土「だから!
先代も愛した、この世界を!!
護らなきゃいけないんだ!!!」
かっ!!!
ずどぉおおおおん!!!!!
恵土の、白く光る球体を宿した左拳と
ヴィランの、黒く光る球体を宿した右拳が
空中にて、ぶつかり合う…
13号(下に当てて、上へ押し上げる形にすることで
僕等への影響を、より小さく…!)
そう考察する中…
黒霧と名乗るヴィランが、突如として13号と生徒たちの前に現れた。
そんな中でもなお、私たちは戦い続けていた。
突き動かすのは…
その意思を宿した個性が教えてくれた、先代たちの生きざま……
無数に存在する、闇―――
それは奥深く
ヒトの心の奥底にもまた、住みつく。
それでもなお、正しくあろうとするのは…
そう、信じているから。
誰もがとは、言えない。
それでも、その人の
人格そのものを信じて、向き合える人が必要だと
恵土『だから、自分がそうなるんだと!!』
戦わなきゃいけないんだ。
心の奥底にある、闇と。
勝手に疑って、不信を抱く心と。
恵土(信じようともしない奴を
信頼なんて、出来るわけがあるか!)
そしてまた、拳がぶつかり合う。
それは
幼き頃に得た、深き闇があったからこそ――