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越えてゆく者【ヒロアカ】

第10章 襲撃




恵土「ふっ。ははっ」


恵土ちゃんは、目に涙を浮かべながら

そのヴィランの声を聴いてから、俯いたまま降りた。



「…どうした?

気でも触れたか?(にや」


作戦だと思われるその言葉を、ヴィランは言っていた。

『田中』と――



それが…

無理やり封じ込めていた悪夢、闇を引き起こしていた。


その当時から今まで、ずっと押さえ込み続けてきた想いまでをも……



だからこそ、気が狂ったようになった。

一瞬で奔流の中に叩き込まれるような感覚―


研ぎ澄まされた感覚に、闇や冷たいものしかない

異様な感覚…



だからこそ、気が触れたようにもなるし

相澤先生も、あぁいったのだと解った気がした。



出久(そうか。


相澤先生が、恵土ちゃんのことを『名字では呼ぶな』って言ったのは…

それまでの悪夢を、想い出すからだったんだ!)


やっと、僕がその意図に気付いた頃…



恵土「今まで、散々苦しめられてきた悪夢だってのに…


今では…

取るに足らない、小さなことのようにも思えるよ)


ふっ(微笑)


いつまでも

『田中』って呼び名を引きずったままじゃいられねーよな(にや」

「!!

(なぜだ?情報と違う」


出久「その呼び名は、トラウマだったはずじゃ…」


驚く僕等をよそに

恵土ちゃんは、次の言葉を紡ぎながら構えをとった。



恵土「ここに来たおかげで、大事なもんを見つめ直すことができた。


私は…

お父さんとお母さんの娘で、田中家の最後の一人!!



それまでの歴史を!

想いを受け継いだ子供!!


私の名は、『田中恵土』だ!!!



手柄欲しけりゃ!!!!

かかってこいやあああああ!!!!!」


施設内に響くぐらい、大声で叫んだ。

振り切ったような笑顔で、それでいながら真剣な表情で…



恵土「いくぞ、でかぶつ…

今度こそだ!(ぎゅ)


護らせろ!!(きっ!!」



当時、自分にとって遥かにデカかった壁が


でかく視えたヴィランが

目の前に立ちはだかった光景が、瞼に浮かぶ。



その言葉の最中

恵土ちゃんは真顔で歯を食いしばって、左拳を握り締め


ヴィランは右拳を握り締めた。




そして言い終わると同時に


互いが、互いに向けて

個性の力を纏った拳同士を繰り出した。



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