第10章 襲撃
ゲートのような黒い穴から出るや否や
両手を下ろして俯いたままの恵土ちゃんへ向けて
光速で襲い掛かってきたヴィラン…
それは
(俺の能力は光速で動けること!
目にも映らない攻撃に、反撃できた奴は今まで存在しない!!)
かっ!
どごぉん!!!
一瞬で、左拳を瞬く間に振り下ろして倒した。
恵土が両目を見開いてて…
まるで、見抜いていたかのように。
出久「!!
(光速よりも早く…
そんなことしたら、恵土ちゃんの拳は…
それだけじゃなく、身体だって無事じゃないはず」
そう考える中、一つの音が聞こえた。
しゅーっ
風がクッションに!?
でも、風が光を超えることなんて
だって、ただでさえ音を超えられないのに?
あっ!
そういえば…圧縮!
圧縮させながら撃っていた
それを予め、自身の周囲に向けて行って?
それなら、在り得なくもない。
普通なら
空気は音速で動く物質の周囲のみ、音速でついていけるけれど
他の空気まではついていけない。自身で出せる速度じゃないから。
でも、超臨界流体並みに圧力を加えて圧縮させていれば
それを全身に纏っていれば、いつでも自在に操れてる理由も解る。
本来、空気の上に人間が乗ること自体が無理。
けど、その流体を空気のみを扱って行い
放出する方向を操ることで、再会した時に身体を浮かせて…(ぶつぶつ)
恵土「正確には違う」
出久「!
あ、声に出てた?;」
恵土「ああ。
エネルギーとは、原子や分子のもとだ。
そしてそれは
物質並みに密度を上げることで、実際に乗ることができる。
私が入ってきた日に浮いていたのだって
それに乗った上で
その浮かせようと触れている部分以外を、風の力を借りて浮いていただけに過ぎない」
『?』
恵土「…圧縮し、物質を超える密度まで上げたことによって
その一部分のみが空間そのものに歪みを与え、影響を加えることができる。
それによって
超臨界流体を遥かに上回る力で圧縮されたことで
本来、数百万トンなどを遥かに上回る凄まじい重量となるはずのそれさえも
空間ごと影響を現れないように働きかけた上で
その周囲が元々風だったことから
その外側の風の流れに乗るように放出することで、浮いていたってわけだ」