第9章 田中恵土:オリジン
恵土「誰にも救けてもらえない。
その現状が生んだ悲劇。
それでもなお、私は…
私の両親は…
殺されていった、大切な人たちは!
それごと
この世界を、愛した!!」
その想いまで、伝わるように念じながら
その目に涙が浮かびながらも
私は、それよりも伝えたい言葉を高らかに叫んだ。
恵土「だから私は…
それごと、愛し続けると…
護り抜くと誓った!!
なのに…(ぎり)
『ヒーローがいるから大丈夫』
『ヒーローがいるから安全だ』
それは
ヒーローが近くに居ないと護られないってことだ。
(幼稚園で切り裂かれた時の光景が瞼に浮かぶ)
現場にヒーローがいなきゃ
悪いことなんていくらでもできるってのと同じだ。
(そんな中、高笑いしながら闇にまみれる児童たちが浮かぶ)
そんな甘えた概念があるから
すぐ現場の近くに居て
一番救けられるはずの人たちが、ただ見てるだけにしてる。
生死の境目が、僅か一瞬だった人たちがいる。
そして…
死んでいった命が、いくつもある。
そういった、甘えた根性を…
ヒーローの概念を、ぶっ壊す。
もう二度と、誰も同じ目には遭わせたくない。
誰もが、ヒーローであるべきなんだ。
やりたくない奴は、やらないでもいい。
それでも
平然と、目の前で消える命を黙ってみてられるような奴には
私はなりたくない!
だからなるんだ…
ヒーローに!!」
そう、高らかに響く声は…
静かに届いた。
切島「漢だぜ!!恵土!!!^^(ぐっ!!」
恵土「いや…女だよ?;(苦笑」
八百万「え?ということは…」
恵土「法律を変える!(どーん」
『えええええ!!!!??;』
恵土「使用許可なんてなくても
『人命救助のため』のみなら
一般の人たちでも個性を使えるようにする」
蛙吹「だったら資格を取る意味はどうなるの?」
恵土「その資格は
いついかなることであっても『個性の使用が自由』ってことだろ。
それじゃあなく、『命を救けるため』のだ」
幼い頃に出した答え…
それはつつがなく、伝えられる