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越えてゆく者【ヒロアカ】

第9章 田中恵土:オリジン




恵土「それを話すには、事の始まりから話さなきゃだな」

そう言いながら

上着の下部分をたくし上げて、例の傷を見せた。


今もなお、左脇腹と

右胸の下側に残り続ける、傷跡を。


相澤「時間ぎりぎりか(溜息」

そう呟きながら

事情を知っているイレイザーは、溜息を零した。



そんな中…

その傷跡は、ありありと存在感を示していた。


胸よりも、深く印象を与えるほどの傷跡。



それは…

幼稚園に体験入園した時の、傷跡だった。




ちょうど、能力が発現した時でもある傷跡は


その個性をもってしても

その力が発揮されるよりも前だったため、今もなお残り続ける。



そしてそれが…

最初の、トラウマとなる闇そのものだった。



それから後…

私は、話した。


ちゃんと、知って欲しかったから。



その時の心中も、思いも…

みんなに当時の意識ごと伝えて、一気に見せた。


私の過去を…

当時の想いを。



それまでの日々を…

(泣きじゃくる、昔の自身がまぶたに浮かぶ)


そして…

その結果、得たものは……



恵土「あの時…誰も、救けてくれなかった。

動けなくされて、刺されて、殺されかけて…



血の気が引いていく。

手足の先から、冷たくなっていく。


そんな感覚を、この身に感じる中…

薄れゆく意識の中で、声が聞こえた」


左掌を広げながら

それを睨み据えるように見つめたまま、私は語った。



当時の光景が、脳裏に浮かびながら


それでもなお、それごと愛すると

守ると誓った、両親との日々を思い返しながら…



恵土「…

『その内、ヒーローが救けてくれるんじゃない?』

『ヒーローが来れば何とかなるでしょ』


せせら笑いを浮かべながら、平然と言っていた」


そう言いながら、歯ぎしりした。



思い出したくなかった。


それでもなお、伝えたかった。




それまでに紡がれた想いを!


私の中で

私という存在になるまで、掛け替えのない存在を!!



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