第7章 戦闘
轟「…」
黙ったまま、隣で聴き入るショートに
私は、最後まで語ろうとした。
あの日…
あの事件の時、かたきを目の前にして決めたことを……。
恵土「それでも、戦うって決めたから。
そのために
護り抜くために、この力を使うって誓ったから(左手を広げながら見つめる)
だから…
頑張らなきゃだよなあ(苦笑&拳握)
お母さんにも、生きないとダメだって
そのおかげで会えて…今、幸せなんだって教わったから(微笑」
そう、拳を見つめながら呟く中…
夕焼けの光が、やけに明るく感じた。
そしてそれは…
死んだはずの、お父さんとお母さんが笑っているように見えた。
祖父母もまた、一緒になって…
とても嬉しそうに笑っている姿が、なぜか浮かんできた。
あの世から伝えようとしてくれたのかまでは解らない。
それでも…
それが嬉しくて、涙がにじんできた。
恵土「…」
ぽとっ
小さな粒が一つ零れ落ちていく中
隣から、そっとハンカチが差し出された。
恵土「あ、ありがとう^^;」
轟「…あの事件、最後には死んだんだな」
恵土「!!」
轟「生死不明として、知らされていた。
だが…
『惜しい奴をなくした』と言っていた。
幼いながらに
父親からの『初めて聞く台詞』だったから、やけに耳に残った」
恵土「…そっか。
そう思ってくれてる人がいるってだけでも、十分嬉しいよ。
私は…
『自分がいたせいで死んだ』って
『だから自分が殺したのも同然だ』って言われた時…
何も、言い返せなかった」
長年、イレイザー以外には話したことがない。
それを語ると、なぜか…
涙がまた、一筋零れた。
恵土「……違うんだ。
ホントは、護りたかった」
気絶させられる直前の光景が、目に浮かぶ。
誰もが、護ろうとしてくれていた。
私に背を向けて、必死に闘う姿が最後に視えた。
恵土「戦い、たかったのにっ…;」
轟「…(ぽんぽん」
そう、肩を震わせながら涙を流す中…
ショートは隣で、私を優しく抱き寄せながら
反対側の肩を、そっと撫でるように叩いてくれた。
それがなぜか…
お父さんやお母さんのように
とても、温かく感じて
逆に、涙が溢れ出て止まらなかった。