第7章 戦闘
遠く昔に感じる、想い出…
恵土父「何で、お前が風を自在に使えるか解るか?」
恵土「え?」
恵土父「風が
お前を助けようと動いてくれるのは…
お前なら、正しく使えると信じているからだ」
それは、一番古い記憶…
多用してはいけないという認識がついた時だった。
そして…
恵土「ねえねえ、お母さん。
おかしいんだよ、これ。
勝手に炎が出るんだ」
恵土母「あら。私は好きよ?^^」
そう、目線を合わせながらかがみこみながらつづられた言葉は…
恵土母「だって…
とても温かいから(微笑」
恵土「!」顔あげる
恵土母「温度じゃない。
見ているだけで…
心が、とても温められるから」
目を瞑って微笑みながら、何のためらいもなく近付いて
胸に手を当てながら、一つ一つ丁寧に紡がれた言葉が
大好きだった。
怒っても泣いても喧嘩しても…
全部、全部大好きだった。
恵土母「だから約束…
生きて^^」
薄々、感付いていたのかもしれない。
これからぶち当たる壁が、どれほど過酷なものなのかを…
だから
恵土父「なあ、恵土。
この世界、好きか?」
恵土「ん~。嫌い!」
恵土父「え!?・・;」
恵土「…だって、みんな殺そうとしてきた。
今だって、結構差別されて(ぶつぶつ」
家のベランダで
4歳=あの事件が起こる1年前の年、正月の夜明け近く
両膝を抱えながら語ると
恵土父「ああ、そうだな(微笑)
じゃあ、俺のことは嫌いか?」
恵土「好き!」
恵土父「俺もだ(微笑)
でもな、お前は相手のことを全部丸ごと知ってるか?」
恵土「ううん」
かぶりを振って、応えると
恵土父「俺も、出会った人のことを
全部が全部は解らない。
誰もが、誰もを解る事なんて
それこそ、無に等しいかもしれない。
俺もお前も、この世界にはろくな目に遭わされなかった。
俺もまた、この世界が嫌いだった。
こんな世界、何であるだろうって思ったもんさ。
何度も、間違った方へ行きそうになった。
……
でもな…
どんなに憎くても、大好きなんだ。
だって、そのおかげでお前たちと出会えた^^」
振り返りながら笑う父親を見て、想った。