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血と血は繋がりて

第1章 プロローグ


 うわ言の様な呟き、この場にいる誰もがその言葉を聞く事は出来なかった。

「逃げよう……。」

 また、独神の唇が微かに動く。何を言っているのか誰も分からない。そんな状態のまま、また不思議な現象が起こった。
 独神が呟いた瞬間、辺り一面、銀色の光に包まれる。もろにその光を両の目で受けたべリアルはあまりの眩しさ故に、目を瞑ってしまう。

「…………消えた……?」

 目を瞑った事により、眩しさによる目の負荷が軽減され目を瞬時に開ける事が出来るようになった。
 次に見えた光景にはべリアルに挑んだ八人の人間の姿、並びに、べリアルが頭を掴んでいた独神の姿が忽然と姿を消した。

「……ククッ。ハハハハハハッ!イイ、イイぞォ!!これなら少しは楽しめそうじゃないか……!」

 前髪をかき上げ、べリアル一人となったその場所で高らかに笑う。その声は響き渡る程に、大きなものだった。

「逃げろ逃げろ、いっそみっともなく逃げ惑え!貴様等の血が一滴残らず滅びるまで、我はいくらでも付き合ってやるぞ!!なあ、誇り高き愚かな神代八傑どもよ!!」

 べリアルの笑い声は不気味に、そして長くに亘って続く。その両目には恍惚とした炎が燃え上がっていた。

🌸🌸🌸

 赤い。赤い。黒の混じった赤が染め上げる。
 煙の臭いがする……。それに混じって、肉の焼ける何とも形容しがたい臭いも。
 私……何やっていたんだっけ?目の前に倒れている二つの肉の塊にも見覚えがある。
 ああ……”あの時”のか……。思い出しているんだろうな。
 あの時、私どうしていたっけ?

「--ーーるじーー。」

 泣いて、泣いて、泣いて、その場にまだ”奴等”がいたのに動かなくってーー、

「ーーるじーーーー。」

 それでーーアイツがーー

「ーるじーーーー!」

 泣いて酷い顔となった私の前に、手が差し出される。ああ……そうだった。
 手を差し伸べて、ここまで来てくれて、それでーー、

『シキ!』
「--主……シキ!おい、しっかりしろ!」

 光が眩しくて、いつの間にか閉じていた瞼の裏でもその光の強さが分かる。
 誰かに呼ばれた。うんん、誰かじゃない。

「……タケル……皆……?」
「主さまっ……良かった。目を覚まさなかったらどうしようかと……!」

 アマテラスが私の左手を両手で握りしめ、涙を流していた。
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