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血と血は繋がりて

第1章 プロローグ


 余裕たっぷりの顔を見せるべリアル。奴はまだ、攻撃を一度もしてきてはいない。

「余裕こいてんじゃねーよ!!」

 これで最後だと言わんばかりに、スサノオヲは彼自身の中で最大の力をぶつけていく。

「あんたになんか、負けない!」
「これでもくらえ!」

 ツクヨミもタケルも渾身の一撃を相手にお見舞いしていく。皆がそうするなら、私だってーー、

「これで最後だ!」

 弦をこれ以上ない位に引き、矢を放つ。始めの攻撃の際と同じ様に矢が渦潮の槍となり、あらゆる方向からべリアルを射抜いた。
 当てた感触はある。でもーー

「軟弱だな……。」

 貫通なんてしていない。本当に、当たっただけだった。
 先程までの笑みは何処に行ったのか。奴の顔から表情が無くなり、心底つまらないとでも言いたげな表情で自身の持つ大剣を頭上高くに掲げる。
 上げられたそれを私達には当たらないにも関わらず、振り下ろした。特に、変化はないと思った。空を見るまでは。

「えっ……!」

 轟音と共に何かが来る。否、何かが降ってくる。
 音で気が付いて空を見上げると、雲で覆われ青色の見えないそこから赤い物体が幾つもこちらに向かってきている。

「隕石……。」

 そう、隕石だった。べリアルは隕石を私達の元に落とそうとしているのだ。いや、落としている。
 時間はかからず、隕石は見事に落ちてきた。
 高温の岩が私達を襲う。一番の被害を受けているのは、前衛にいるスサノヲとタケルだった。
 当然、私もアマテラスもツクヨミも隕石という攻撃をもろにくらっていた。
 あまりの威力に、全員が膝をつく。私は膝だけでなく体全体が崩れ落ちた。そして、モモ達みたいに彼等の魂は私には感じれなくなった。

「くっ……!」
「なんだ、この程度か?他愛もない。」

 意識が朦朧としてきた。取り敢えずは体の感覚はある。でも、動かせそうにない。
 砂利の音が耳元で聞こえる。誰かが歩いているような地面の音。

「ッ……まだだ!まだ終わってねえッ!!」

 どうやらべリアルがあのへんな乗り物から降りて、こちらに来ていたらしい。もう、顔を見上げる事すら出来ない。

「これから本気出すんだからっ……!」

 そうだよ!まだまだ、これからなんだ。
 なんとか立とうと、足に力を入れてみる。無理だ、踏ん張れる気力も全部、無くなってる。体が痛い。重い。
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