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血と血は繋がりて

第1章 プロローグ


 目が合うのは一瞬で、腰に差している剣に手を伸ばしべリアルを見据える。

「戦えない奴は下がっていろ。ここからはーー俺たちの出番だ!」

 抜いた剣を目の前のラスボスに向ける。
 普段はやる気など皆無で、常に面倒と怠惰な事しか口にも行動にも出さない。いつも呆れてた。初めて会ってからも、今日までも。
 でも、その分ーー

「私も、やる。」
「主!?」
「主ちゃん!?」
「主様!?」

 彼にーータケルに支えられていた。今も”あの時”も。

「皆が命懸けるなら、私も命を懸ける。どうせ足手まといだし、皆みたいに力がないし、戦力にならないよ。」
「シキ……。」
「……でも、皆がやられるのは見てられない。”あの時”みたいに何も出来ないで守られているのは嫌なんだ。」

 だから、今日までに八人から自分が出来そうな事を戦い方を教えて貰った。武器の使い方、回復の仕方、その他諸々。

「それが主の考えなら、否定しない。だが、無理はするなよ。危なくなったら直ぐに逃げろ。」
「ううん。逃げない。皆を置いて、逃げたくもない。」

 武器が欲しい。そう願うと、自分の手に弓矢が現れる。アマテラスみたいに立派な弓ではないけど。

「はあ……本当に、頑固な主だ。」
「頑固で悪かったな。昔から知っているだろ?私がこんな奴だと。」

 タケルの隣に立ち、相手をーーべリアルを見る。
 優越と笑みをその色白な顔に浮かべ、少し気味が悪いと思ってしまう。
 これでコイツを倒せば、また元通りの日常に戻る。バカやって、どんちゃん騒ぎをして、色々な物を育てて、恋だって、結婚だってーーなんでも元通りに戻るんだ。

「黙って聞いていれば随分と大口を叩く。だが……。」

 掌の上で叩いていた大剣を肩に担ぐ。一瞬、顔を伏せた為、何事かと身構えたが、奴は肩を震わせて笑っていた。

「ククッ、悪くない!悪くないぞォ!!!」

 顔を上げ、こちらに色白の顔が窺える事が出来るようになった。

「来い、忌まわしき血を引く愚かども!このべリアルが、ひとり残らずひねり潰してくれる!!」

 相手の目は文字通りに、目を燃え上がらせていた。私達のやり取りが、奴を燃え上がらせたらしい。
 これで最後なんだ。これが最後なんだ!
 背中に背負った矢の筈巻に手を伸ばし、いつでも矢を放てる様に身構えた。
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