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血と血は繋がりて

第1章 プロローグ


 いつの間にか一体だけとなった悪霊に、モモタロウの最後の攻撃が決まった。
 多少の攻撃は当たったものの、急所に当たったとか酷いものでは無く、魂にも影響はなかった。
 倒せた!嬉しくなって、口角を上げたが次の光景に言葉を失った。

「嘘……。」

 モモタロウが止めを刺した相手は、煙として消える前に自身の魔力か何かで、戦闘が終わったと気を少し緩めた四人に攻撃を浴びせた。
 これが只の攻撃なら良かった。相手の執念か何なのか、この攻撃は、彼等の魂を減らしてしまう程の攻撃となって四人を襲った。

「くっ……!こんな雑魚相手に、手こずるとは……。」
「ここに来るまでに力を使い過ぎたかっ……。」

 悪霊が強い。それも確かにあった。でも、そんな相手でも一蹴してしまう程強い彼等が、膝をついた。
 それ程までに今日までの悪霊との戦いで、体を酷使したのだろう。
 傷だらけとなった仲間の元に私は駆け寄る。私が感じれる彼等の魔力や力は、微かな、何とか分かる位にしか感じれなかった。
 今も、彼等の力が大幅に減っていってる。

「貴様等のような軟弱な輩が、界の英雄とは……。」

 黒い霧に囲まれたこの場所に、聞き覚えの無い声が木霊する。さっきまで戦っていた者も、私と一緒に彼等の元に行った者も全員が身構えて、その声の主を模索する。

「べリアル……!!」

 声の主を見つけたのはジライヤだった。
 黒い霧から出てくる男は、何かの乗り物に乗り口元に笑みを浮かべていた。
 ジライヤの声に全員が反応し、べリアルを見据える。

「ククッ……侵略するのも容易いはずだ。どいつもこいつも弱すぎる。」

 べリアルは手に持っていた大剣を掌の上で叩きながら、私達の元に近づいてくる。

「言わせておけばーー……ぐッ……!」
「モモ!立つな!!」

 地面に置いてしまった大太刀をまた手にして、傷ついて疲労した体を立たせようと動いた。が、傷は奥深くまで響いており、また膝をつく事になった。
 その行動に、思わずモモを支えに行く。
 他の三人もモモと同様の行動をとろうとしたが、全員、膝をつく事になった。

「無理しないで!さっきの戦いで、あなたたちの魂はもう……!」
「だからって、見ているだけなんて出来ない。八百万界の命運は、僕たちに懸かってるんだ……!」

 アマテラスの悲痛な叫びは彼等の耳には届いていない。
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