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血と血は繋がりて

第1章 プロローグ


 先を走っている私の前に、私と似たり寄ったりの人影が静止を促した。

「あのさ、止まって。……喋ってる暇がなさそうだよ。主さん、少し下がってて。」

 真っ直ぐ前を見据えるかの様に、佩刀している大太刀に手を伸ばすモモタロウ。彼の目線の先を私も見てみる。
 両手に小ぶりの斧を手にした鋭い牙を持った”悪霊”。魔元帥べリアルが使役する奴らが数体、私達の進路を阻む様に立ち塞がった。

「独神である君は、八百万界を救うために必要な存在なんだ。傷ひとつだって負わせるわけにはいかない。」

 持ち手をしっかりと握ると、抜刀する。モモタロウの背よりも大きいそれを、前に塞がっている悪霊達に向ける。
 私だって、戦う為に身構える。私よりも幼い子に守ってもらうのは、情けないと思う。でも正直な所、それ程私は”弱い”んだ。

「おい。うろちょろされると気が散る。絶対に出てくるなよ。お前は指示だけ出していればいい。」

 モモタロウだけでなく、手にしている大きな手裏剣を構えながら私の前に立つ人影があった。頭には小さな紫色のカエルを乗せた忍。

「フン、口が下手なやつだな。素直に心配だからって言ったらどうだよ?」

 ジライヤの隣に、シュテンドウジが腕を回しながら並んだ。シュテンの言葉に視線も合わせず、何の反応も返さない。その代わりに、頭のカエルが鳴いた。
 彼がそういう人なのは、分かっているのから特に傷ついている訳でもないけど、言い方が言い方だから、心に突き刺さる事も結構ある。

「奥ゆかしくて嫌いじゃありませんよ。さて、僕も加勢しましょうか。行って参ります、主様。」

 私の前に立った三人の後に続く様に、ウシワカマルも悪霊達と対峙する。
 他の四人も私を守るかの様に、集まって来る。
 出来る限り、皆の足手まといにならない様に……。自分の身を守れる様に、また、身構えておく。

「気を付けて。」

 そう、一言だけ言うと、悪霊と対峙するモモタロウ、ジライヤ、シュテン、ウシワカマルは私の方を見て、短い返事を返してくれた。
 彼等の戦闘に巻き込まれない様に、戦闘の行方を伺う。
 昨日とも、さっきまでとも変わらずに強い。流石、この八百万界の中で一番強いと言われるだけある。
 彼等の攻撃は全て、悪霊に対して効いていた。でも、見ていて少し違和感が見えた。

「一撃必殺!」
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