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血と血は繋がりて

第2章 八傑の血を継ぐ者


「具現化というより、お前の望みに近いやつが喚ばれてここにいるってことだろ。」

 そうだとしたら、ウシワカが言う様に私が認めたという事になる。タケルは怠そうに欠伸を噛み殺す。目の端に涙がうっすらと見えた。
 一方、タケルとそんな話をしていた私達をよそに大男二人は何故か、殴り合いを始めていた。

「……また始まった。」
「うっわ……何で殴り合い始めてるの?」
「やれやれ……。あれがかつて八百万界で最強の力を持っていた英雄達とは。」

 殴り合いに発展するまでの会話を聞いていない私とは違い、モモと八咫烏は呆れた様に溜息を吐いた。
 八咫烏に至っては、目に光が入っていなくて座っていた。

「今は違うのか?」

 理不尽な事を言われていたのに、ずっと沈黙でいたタケミカヅチが遂に、口を開いた。

「それぞれの身に宿っていた力は、主様へ渡してしまいましたからね。おかげで≪一血卍傑≫は完成し、タケミカヅチ様がこうして創り出されたわけですが。」

 私ではなくて八咫烏が、タケミカヅチが創られた経緯を語った。八咫烏の紅がさされた大きな黒目は、未だに殴り合っている妖と神に注がれた。
 いつしか、そこに止めに入る様にアマテラスが間に入って行っていた。

「しかし困りました。打倒べリアルに向け、力を合わせなければならないというのに……あの様子じゃ一致団結する日は程遠そうです。」
「まあ、あれは今に始まった事じゃ無いけどね。」

 恒例の行事みたいな感覚になっていて、これが可笑しいというのが鈍っているぽい。

「カラス殿、俺は何をすれば……。」
「ねえ、君。」

 八咫烏に、自身のこれからの目的を聞こうとしていた矢先だった。それと都合よくモモの台詞と被った。

「ワタクシですか?」
「これあげる。食べて。」

 私のタケルとは反対の隣に来たモモは、八咫烏対して腰にぶら下げた巾着からある物を取り出した。
 取り出した物を掌に乗せる。白く、丸いまるでお餅みたいな物だった。

「なんです、これは。」
「きび団子。」

 団子だった。確か、モモはそれを犬・猿・雉に上げたんだよね。まだ、あったのね……。っていうか、モモ、八咫烏を雉に間違えてない!?
 少し驚きつつも、黙ってモモと八咫烏を見守る事にした。

「ワタクシはキジではありませんよ!?…………あっ、でもなかなかの味……。」
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