第2章 八傑の血を継ぐ者
紹介したい人?誰?
疑問に思いつつも、八咫烏に案内されるまま本殿外のある所まで三人と一羽で向かった。
「こちらに残りの皆様も、紹介したい者もおります。」
八咫烏が言う通り、アマテラスとツクヨミ以外の八傑と見知らぬ人物が案内された場所に揃っていた。
八傑は私の姿があるのを知ったのか、「心配した。」「無事で良かった。」と口々に揉みくちゃにされるんじゃないかって位に詰め寄られた。
「心配してくれて有難う。それと……命、救ってくれて有難う。」
それだけじゃ分からないのは当たり前で、皆、頭の上に疑問符が浮いていた。
「皆の最後の力が無かったら、死んでた。只、その代わりに目の色が変わっちゃたけど。」
ほら。私は姉妹以外の男性陣に、自分の瞳を指した。
凄く近くに来ないと分からないから、タケルとジライヤ以外のメンツが押し合う様に寄って来て私の瞳を見てくる。
「変わらず紫色ですが……。」
「いや、青色だよ。」
「いいや、紫だ!」
やっぱり、人によって色が変わって見えるのか……。アマテラスとツクヨミの時の様に、その二色で意見が割れている様だ。
「頭領、視覚はあるのか?」
物静かにしていたジライヤが口を開く。ジライヤの反応は冷めていそうだが、心配してくれたらしい。主に視覚だけど。
ジライヤに顔を向け、返答した。
「うん。視野とか色とか、視力とか前と変わらない。しっかりと視覚はあるよ。」
そうか……。それだけ言って、まただんまりに徹し始めてしまった。
一応、自分の体の変化を仲間に知らせれたので良しとして、次の事に駒を進めようと思う。
「で、八咫烏!紹介したいのって、彼の事?」
白色の鳥は私の周りにいる八傑以外の人間の所で、一人と一羽で何か話していた。会話が終わった所を見計らって、八咫烏に話し掛けた。
「はい。主様以外の皆様は知ってはおりますが、改めてご紹介いたしましょう。こちら、タケミカヅチ殿。先の一血卍傑により創り出された英傑でございます。」
烏に紹介された英傑は、私達に向かってお辞儀をする。
「よろしく頼む。」
その声は、私が意識を失う前の最後に聞いた声にそっくりだった。
「どうも。」
私も、彼に釣られる様にお辞儀をした。宜しくと言われたのに、返答が冷たすぎやしないかと言った後に固まってしまった。