第2章 八傑の血を継ぐ者
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「ううッ……有難う、ツクヨミィ……。」
多分、赤くなっているであろうおでこを擦りながら、ツクヨミに手を引かれて外に出た。
「主ちゃんは落ち着きがないの!何で、何もない所で転ぶの!?」
「私も吃驚した。」
転ぶなんて考えてもいなかったから、転んだ張本人である私はそれはそれは驚いたし、地味に痛かった。
私の言葉に呆れたのか、ツクヨミは溜息を吐いた。
廊下には段差なんて一つもない。真っ平らな、すべすべしている床である。私はそこで勢い余って顔から突っ込んだ。
「主さま!大丈夫ですか?」
後ろからアマテラスが駆け寄ってくる。確実にアマテラスにも、私が転んだ時の音が聞こえてました。
「おでこと膝以外は大丈夫!」
「大丈夫じゃなそうだと思いますけど……。」
そんなに赤いの!?あまりの恥ずかしさに、両手で顔を隠した。この赤いのが、青色に変わらないといいな……。
そうこうしているうちに、本殿の外に出た。
歩くたびに足がおぼつかない感覚がして、まだ、足に力が入っていないんだと思った。
「主様!もう、お目覚めでしたか!!」
太陽の光が目に入って眩しい。目を細めて、外を眺めていたら一羽の白いカラスがこちらに飛んで来た。
しかも「主様!」なんて言いてやがる。私は、八傑以外で主と呼ばれた記憶はないぞ!
その白い烏は足が三つついており、俗にいう≪八咫烏≫だった。でも、八咫烏って黒いよね?烏って黒いよね?そして喋ってるし!?
寝起きの私にとって、その白い八咫烏は衝撃的だった。廊下で転倒した次位に。
「誰!?」
「主様のお側役の八咫烏、カァくんですよ!!お忘れになられたのですか!?」
八咫烏:カァくんは私の目の前を上手く、飛びながら必死に訴えてくる。
「烏って黒じゃないの?」
「私は白色なんです!!……私の事……お忘れなのですね……。」
取り敢えず、凄く面倒くさい事だけは分かった。後、私はやっぱり知らない。酷いとは自分でも思うけど、正直に言って記憶に存在しない。
だって、もし記憶にあるとしたら白色の烏というインパクトで忘れるはずがないのだから。
「で、そのお側役さんがどうしたの?」
飛びながら項垂れる目の前の鳥に手を差し出して、止まり木みたいな感じに止まって貰う事にした。
「そうです!主様に紹介したい者がいるのでした!」