第2章 八傑の血を継ぐ者
静かな部屋だから、私の声が小さくても普通に喋っている様に聞こえた。
「う~ん……思い当たる節は無いわよ?」
ツクヨミには原因は分からないらしい。勿論、変色した本人である私も原因はさっぱり解らない。
二人で顔を見合わせて、「ねえー。」なんて言ってると、今度はアマテラスが口を開いた。
「もしかしたら……私たちの力を主さまに渡した事が原因なのかもしれませんね。」
「八人の力……。」
「それか、≪一血卍傑≫が完成したが故の副作用か。」
私が気絶する前に秘術は成功をした。血が光って人の形を創った、所までは覚えているしその光景は目に焼き付いている。
皆の力は強くって、私の体は危険だと知らせる為に色々な痛みを体中に散りばめていた。
それと同じか大きいか、秘術を使用した際も体が危険だと信号を色々な方法で出してきていた。
「それが一番、妥当ね。だって、最悪は命を対価交換として差し出される程の術ですもの。」
私たちの界では秘術を身に付けたくば、同等の価値のある物を差し出せ。それが当たり前である。
軽い物であれば軽くて済む。逆に重い物であればそれに合った重い物が対価交換として、自身から無くなる。
それが体力、自身の霊力、精神力その他諸々ーー時間を置けば回復するであろう物なら、その時にだけ耐えればまた時間を置いて使う事が出来る。
だが、秘術≪一血卍傑≫は英傑を産み出す術。無の所から媒体を使い創りだす秘術でだ。
この秘術に見合った価値のある物は、術を使用する当事者の命。最悪の場合がそれなのだ。
「命が無事な事に疑問が……。」
瞳の色が変わった原因はなんとなく理解はした。でも、何で瞳の色が変わっただけで済んだのだろう。
考えてみても、私の中で答えに成る様なものは見当たらない。一つだけあるとしたらーー、
「……皆の力のお陰かも。」
あの時、最後の力を貰わなかったら、私はここにいないだろう。体は朽ち果てた見るも無残な姿になっていたのかもしれない。頼みの綱もここで終わっていたのかもしれない。
私がそういうと、二人は目をこれ以上ない位大きく開け私を見ていた。
「いえ、それはーー……。」
「有難う!二人だけじゃないのは分かっているし、後で他の皆にもお礼を言ってくるよ。」
何か言いたそうだったけど、私は命がまだあるその要因の内の二人にお礼を言った。