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血と血は繋がりて

第1章 プロローグ


「すべては、悪霊どもを討つためにーー!」

 ドックン。活動が少し遅くなっている私の心臓が大きく跳ねる。それは痛い程に、胸を押さえてしまいたい程、苦しい。
 ああ……皆の最後の力が流れてきているんだ。心臓の脈動が激しくなる程、どんどん力が溢れてくる。

「苦しい……。」

 息が詰まってしまう程の苦しさ。段々とそれが強くなっていく。
 これを耐えてしまえば、後は秘術だけなんだ!
 皆の力は毒みたいだ。皆の最後の力が私の体を侵食していく。

「これで最後だ。」

 ジライヤの力が流れて来る。これで最後だ、これでーー

「主さま!」

 やっぱり、残りだとしても私の体には耐えれない程の力を持っているって事なんだね。
 ジライヤの力が全て入って来た事が解った瞬間、体は地面に吸い込まれる様に倒れてしまった。

「大丈夫!このまま、一血卍傑しちゃおう。」

 汗がさっきから止まらない。体が熱くて、火照ってる。頭もくらくらして、痛みを帯び始めている。

「ジライヤ、ヤマトタケル、私に血をくれ!」

 怪我をして傷だらけであるから、血は態々新しい傷を作らずに済む。
 何処にどうすればいいのか、早く終わらせたくて深く考えずにその場の私の目の前の地面に垂らす様にお願いする。
 一滴、二滴……タケルの血の上にジライヤの血が重なっていく。そこに祈りを乗せるかの様に両手を組み、額の前に置いた。
 もし、創りだせるのなら、悪霊にも負けず自分の意見を持った者が良い。私も力になれるそんな英傑ーー

「雷の軍神、タケミカヅチだ。」

 血が光るなんて普通は有り得ない事だが、何故か血が光りその光が段々と人の形になっていく。
 それと同時に私の体の異変も悪化していく。動悸が更に激しくなり、体が怠く重く、頭の奥底が物で殴られた様に痛み、息苦しくなり呼吸が出来なくなっていく。視界も霞んで何が何だか分からなくなっている。

「主君!!」

 最後に聞いたのは聞き覚えの無い声。多分、≪一血卍傑≫で産み出された英傑か……。
 これ以上は耐えられない。それが体も分かっていたのか、私の視界は真っ暗になり、そこから意識を手放した。
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