第3章 ◇ episode 02
万事屋一行は甘味処へと向かう為、その足取りは軽やかに動く。新八と神楽は勿論、やはりこの中で銀時が一番ワクワクしているのだった。表には出さないだけで、本当は今すぐにでも走り出したい衝動に駆られていた。
歩き進めるその途中、長谷川と遭遇した。
「あ、銀さん!新八君に神楽ちゃんも!」
「長谷川さんじゃないですか。奇遇ですねバッタリ会うなんて。」
「どうせ禄に仕事もして無いんだから遭遇しても何もおかしくないアル。」
神楽は開始早々長谷川に向かい毒を吐き散らす。毎度毎度同じような事を言われ続けてもやはり傷付くのか、長谷川の眉は下がり頬は引き攣っていた。それを隠すように話題を逸らし始めた。
「そういやさ、あそこの甘味処に別嬪さんが働いてるって話題になってるんだけど、どう?一緒に行かない?」
「おーおー、そんな話聞かされちゃ行かない理由なんて無ェよなァ。」
「……結局男は若い娘がいいアルな。そんなだから嫁に逃げられるネ。キモいアル、しばらく私に話しかけないで。」
「ちょっとォォ!別にそんなんじゃないから!そんな目で見ないで!」
別嬪と聞いて賛同する銀時に対し、いろいろと難しい年頃の神楽には軽蔑される長谷川だった。終いには唾まで吐き捨てられる始末。まあまあ、とそんな長谷川を新八は慰めた。
それから新八が自分達も甘味処へ行こうとしていたという事を伝え、四人で甘味処へ向かう事になった。
だが甘味処へ着けば銀時は一気に拍子抜けした。
「んだよ、話題になってる割には客足少ないじゃねェか。」
話題になる程の別嬪が居るならムサい男連中共で溢れかえっていると思いきや、全くそういう訳では無く、むしろ正反対だった。
しかしそれには理由があるらしく、目の前にある店中に居るであろうその別嬪さんには聞こえないように長谷川は銀時に耳打ちをした。
「何でも見た目は容姿端麗だが、態度が酷く冷たいって話でよ。ほとんどのチキンな連中は影でコソコソ見てるだけで、それ以上は怖くて話しかける事も出来ないそうだ。」
そう聞いた銀時は、ふーんと軽く返答をして店の外の椅子に腰を下ろした。