第3章 ◇ episode 02
翌朝、仕事が無い銀時はいつもより遅めに起床。のろのろと起き上がり襖を開け和室から居間に行けば、そこには呆れた様子の新八の姿があった。
「……早ェなオイ。休みの日くらいゆっくりしろよ。」
「……毎日休みみたいなもんなんですけど。」
静かにそんなやり取りが行われる中、押入れからまだ眠そうに目を擦りながら神楽が出てきた。すると新八は台所へと向かいお盆に乗せた朝食を運び戻って来た。
「はい、どうせこんなんだろうと思って朝ごはん作っておきました。」
「何アルか。新八のくせに生意気ネ。むかつくアル。」
「新八がこんな冴えない眼鏡じゃなくてボン・キュッ・ボンの姉ちゃんだったらなぁ…。」
「お前ら一回その憎たらしい口きけないようにしてやろうか。」
なんやかんや言いつつ銀時と神楽はありがたく朝食を頂いた。
昨日の報酬がある為しばらくの間は生活には困らないが、する事が無い三人はただ天井を見上げ暇を持て余していた。そんな状況が数分続き、遂に絶えられなくり声を荒らげたのは銀時だった。
「だァァァ!!何でこんな暇なんだよ!!誰か仕事持ってこいや!!」
「そんな事言っても来ないものは仕方が無いですよ。」
「それだけこの町は平和って事アル。むしろ喜ばしい事アル。」
「……それもそうだな。」
そうしてまた訪れる沈黙。再び数分が経ち、銀時の貧乏揺すりが始まり、その音と振動だけが部屋に静かに響いた。そしてまた声を荒らげたのは銀時だった。勢い良く立ち上がり玄関へ向かって歩き出す。
「ちょっと銀さんどこ行くんですか?」
「待つアル!自分だけ旅に出るなんて許さないネ!!」
「誰が旅になんか出るか!!糖分が切れたので甘味処へ行きまァす。」
銀時の言葉に新八と神楽の表情はパァっと明るくなり、バタバタと銀時の後ろを着いて三人同時に万事屋を後にした。
その頃そんな騒がしい住民を上の階に持ったお登勢は何事かと店の天井に視線を向けていた。
「何だい騒がしい奴らだねぇ。」
「存在ガ騒ガシイカラ仕方ナイデスヨお登勢サン。」
そんな会話をしながら騒音が収まるのを待っていたお登勢達だった。