第2章 ◇ episode 01
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「銀さん遅いね、コンビニ行くだけでこんなに時間かかるなんて。」
「大丈夫アル。そのうちお腹空かせて帰って来るネ。」
「……我が子の家出を見守る母親みたいに言わないでよ。」
所変わって万事屋の家の中。やけに帰りが遅い銀時を心配する新八と、ダラダラと過ごす神楽。銀時が出掛けて今に至るまで、万事屋の電話が鳴ることは無く、今後を不安に思う新八だった。
「せめて晴れてたら何処か行くのに…。」
「本当ネ。散歩も行けないし定春が可哀想ネ。」
「ワン。」
何も無い部屋の中にある唯一のテレビも、何一つ面白い番組もやっておらず神楽はピッピッとチャンネルをコロコロ変えていた。その中でふと新八はとあるニュースに目が止まり、慌てて神楽からチャンネルを取り上げた。
「ちょっと何するアルか!!返すネ眼鏡!!」
「いいからいいから!!ほら、見てよ神楽ちゃんこれ!!」
『続きまして、近頃かぶき町内で相次ぐ人斬りについての事件です。事件が発生したのは凡そ一ヶ月前頃からで、身分等は関係無く無差別に人が殺害されるという事件が続いています。しかし、女性が狙われたと言う報告は今の所入っておらず、男性だけが殺害されているということです。犯人についてはまだ情報は一切掴めておらず、かぶき町内に住む市民は不安を抱え生活をしている模様です。くれぐれも外出時は身辺に気を付け、怪しい人物を見かけた場合すぐに警察に連絡をお願いします。―――続きまして、』
新八達が見た内容は例の人斬りについてのニュースだった。かぶき町という事もあり、他人事では無いと身体を震わせた。それと同時に自分達と少しでも関わりのある人物達の事が心配になった。
「長谷川さんとか大丈夫かな…。」
「あんなマダオ襲った所で得られる物なんて何も無いのに襲うなんてただの馬鹿アル。」
「君には人の心っていうものが無いのか全く……。」
そうこう話をしている間に玄関の戸が開けられる音が聞こえた。銀時が帰ってきたと分かった新八は急いで玄関の方へと向かった。そこに立っていたのは頭から足の先までベタベタに濡れ、怒りに満ちた表情を浮かべた銀時の姿だった。