第2章 ◇ episode 01
「ぎ、銀さんどうしたんですか!?そんなにびしょ濡れになって!」
「どうしたも何も…だァァァァ!!何だってんだコンチキショー!!」
銀時はずぶ濡れになった理由を話す前に先程の出来事を思い出し、再び湧き上がった怒りと共に家の中で叫び散らした。突然の大声に新八は驚き、何事かと神楽も部屋の奥から銀時達の元へとやって来た。
「銀ちゃんどうしたアルか?人斬りにち◯こでも切り落とされたアルか?」
「あんな女に銀さんの銀さん切り落とされてたまるかってんだよ!!なぁにが人斬りだ、ただの女じゃねェか!!」
神楽の言葉が銀時を更に煽り、暴走し始める。身振り手振りが激しくなるにつれ、銀時が立っている床には僅かながら水たまりが出来ていた。
「え、ちょっと待ってください。銀さん人斬りに会ったんですか?」
「会ったも何も、いきなり斬り掛かって来るわでこの有り様だっつぅの!俺のジャンプが…。」
銀時は新八にコンビニの袋を差し出し、新八はそれを受け取った。中身を確認してみれば、イチゴ牛乳はピンピンしているものの、ジャンプは既に水を含みすぎたせいか少し引っ張れば破れるほどまでの状態になっていた。
「あの女ぜってェ許さねェ……。」
「何はともあれ無事で良かったですよ。余りにも帰りが遅いから何かあったのかと思いましたよ。」
「良くねェよ、何かあったじゃねェかよ。今度見つけたらとっ捕まえてジャンプ一年分買わせてやる…。」
そんなに買ってどうするんですか、とやんわりツッコミを入れた後新八は風呂場にタオルを取りに行き、すぐに戻ってはそれを銀時に渡した。銀時はひとしきり全身を拭いた後、一張羅や着ていた物を全て洗濯機の中に入れ、部屋着用の着物へと着替え居間へと足を運んだ。
ソファーに倒れるように座り込み、それと同時に新八が台所からコップに注がれたイチゴ牛乳を手に居間へと戻って来た。
「それで、大丈夫だったんですか?」
「見ての通り。途中で大串君と総一郎君に遭遇して、その間にどっか行っちまった。」
「何やってるアルか。ちゃんと捕まえろよクソ天パ。」
「え、なに?俺が悪いの?」
理不尽に責められ銀時の心は崩壊しかけたが、逃げてしまった以上どうする事も出来ず、その日はもう家から一歩も出ずに一日を終えた。