第3章 おでかけ
「すっごい緊張してお腹痛い!」
そう言いながら叫び走り出した愛紗を世話役が追う。
タワーの外にはマスコミだらけだ。
こんな所から出たら後で怒られる。
どうにか人のいない裏口から出た、愛紗と世話役は迎えに来ていた車に乗り込む。
「ああ~びっくりした!」
「テメェ何やってやがんだ」
「爆弾事件に巻き込まれたのは私のせいじゃないもん」
後部座席に乗り込み、シートベルトを締める。
「警察と一緒にいたみてぇだな」
「うん、でも全然平気だったよ」
「どうだかな、ピンクレディ、お前は迂闊だ」
「失礼な!爆弾だって解除したんだから」
「嘘だろ、お前の腕で」
「大体やったのはこの子だけどね」
愛紗の発言にジンがギラリと目を光らせる。
「そいつは記憶がねぇんじゃなったのか?」
「生活面の記憶はあるんだよ」
「じゃあ何か?ソイツは前に爆弾処理をしてたとでも?」
「うーん、教えてもらってやったからだよ、ね?」
爆弾処理の技術を持っていた訳では無く、教えられたから出来たのだと愛紗は確認する。
そうすれば世話役の男は首を縦にふった。
「ほら!」
「信用ならねぇな」
「そんな~、私が唯一自慢できるのは手術の腕だよ?頭の中を弄るのも、入れ替えるのも得意だよ!」
「だったら、早くソイツの記憶を戻すんだな。そいつはくせぇ「ジン!」」
遮るように愛紗が口を挟む。
「ダメだよぉ、無くした記憶は戻らないんだから。不安にさせるような事言っちゃ、駄目」
「ッチ」
ジンはそれ以上話すのを止めた。
愛紗の隣にいつもいるイラつく世話役をミラー越しに睨み付けるとアクセルをさらに強く踏んだ。
爆弾騒ぎのせいであちこちに警察がいる。
さっさとこんな場所から離れるに限る。
世話役は何も話さない。
先ほどのであった子供を思い浮かべていた。
江戸川コナン、アイリッシュから送られてきたメールに書かれてた名だった。