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短編集【ヒロアカ】

第1章 モテ期はこりごり


クラス公認カップルというのはたまにいるけど、クラス公認の三角関係というのは果たしてよそにも存在するのだろうか。もしいるのだとしたら板挟みにされている子とぜひともお友達になりたい。そして心ゆくまで語り合いたい。クラスのど真ん中で奪い合われることがどれほど居た堪れないものであるかということを。


「半分野郎!テメェ気安く人の女に触ってんじゃねえよ、離れろ!俺の前でベタベタ触りやがって、喧嘩売ってんのか!」

「じゃあお前のいねぇとこならいいのか?」

「いいわけねぇだろうが殺すぞ!」

「血の気多いな。そんなんだとそのうちに愛想尽かされるぞ」


なあ、ってそこで私に同意を求めるのはやめてください轟くん。爆豪くんも鬼の形相で私を睨むのはやめてください私何もしてない。二人はひとしきり売り言葉に買い言葉で言い合うと無言で睨み合いを始めた。クラス一目つきの悪い二人が凄むと威圧感が半端ない。空気が重苦しい。クラスメイトが何人か教室から逃げ出していくのが見えた。ああ、非常に申し訳ない。

私は同中出身の爆豪くんとお付き合いしている。中学三年の秋、なんの前触れもなく空き教室に呼び出され、びくびくしながら応じるとそこで告白された。そう、まさかの爆豪くんからの告白だったのだ。これまでの平々凡々な人生、男子に告白された経験など皆無だった私はこれがモテ期かと打ち震えた。しかし私のモテ期は一度で終わらなかった。
高校に進学するとクラスメイトの轟くんになぜか気に入られ、人目を憚らずアピールされるようになったのだ。彼氏の前だろうとお構いなく、である。



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