【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第115章 115話
「攻撃が通用しない理由は?」
「瞬間移動の能力者で、攻撃しても自動的に移動して避けられちゃうんだよね。
ただ、場所はコントロールできないみたい、たぶん見えている範囲にしか移動できない。
それ以外の場合だったら自分の意思で思ったところにワープできるみたいだったよ。」
全部バレてるじゃないですか…
能力は隠すつもりもないからいいけれど、それよりもシャルナークの頭脳派参謀っぷりを目の前で実体験してしまい、思わず感激…
ここ数分の間で驚いたり悲しんだり喜んだりと、感情がジェットコースターの様になっている。
「少し面倒だな…。」
私が目を輝かせていると、クロロはボソッと呟いた。
考え込むような沈黙の後、スッと立ち上がるとこちらに近づいて来る…
「えっ…?ぇっ」
急に距離を詰められて狼狽する私
近くに来て初めて、その姿がハッキリと見えた。
黒い瞳がジッと覗き込んでくる
あまりの迫力に飲み込まれそうだった。
「ひっ…、…」
時間にしたらほんの数秒の事だったかもしれない
私からすれば蛇に睨まれた蛙の状況なのに…
なぜかその時、クロロのその瞳に…彼がまだ幼い頃の面影を見た。
初めこそ恐ろしくて後ずさり、目を逸らしそうになったけれど
クロロは睨むというよりは、覗き込むような…見透かすような目をしていて
気がつけば、私の頬には静かに涙が伝っていた。
「怖いか…?」
「…え?あれ?私なんで…いや、すみません。これは違くて、あっ…怖くないとかじゃないんですけど、怖いんですけど、そうじゃなくて…
か…悲しくて…。多分、悲しくなってしまって…。」
挙動不審その物…相手からしたらまったく意味が解らないだろう。
自分でも明確に涙のワケを説明できない。
でも
私から見たクロロ・ルシルフルの瞳は、いつだって悲し気に映っていた。
思い返せば、ずっと昔から…そうだった。