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【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ

第115章 115話


瓦礫の街を少し奥に進むと、中でもかなり原型が整っている棟が見えてきた。

ここかな…?


埃っぽいのに湿っていて、とても居心地が良いとは言えないけれど、屋根があって置き去りの家具も点在している。
ここで暮らしていた人々の営みの跡を辿りながら、私は半地下の小部屋へと入っていった。

未成年者が、成人男性の後に付いてこんな怪しげな場所に来るなんて
元居た世界の日常からしたらあり得ない光景だな…と、どこか他人事のように捉えている自分が居る




「団長、連れて来たよ。」




シャルナークの言葉に肩が揺れた。


日が陰ってきたとは言え、薄暗いにも程がある半地下の部屋には、ロウソクが何本か立てられていているが殆ど明かりの役割を成していない。

その為、この薄闇の向こうにクロロ・ルシルフルが居るという事実を急に突きつけられ、私は数秒間息ができなくなった。



パタン


と、書物が閉じられる乾いた音

人が話始める前の息遣い


クロロが第一声を放つまで


一息も吐けなかった。






「そいつが?」


「そう思うよねー…ただ、オレの攻撃が通用しないのは確かだよ。」



まだ目が慣れない…
しぱしぱと瞬きをして、シャルナークの後ろから少し身を乗り出す

クロロの声の方を向くと、私はようやくその大きな影を捉えることができた。



「……。」



シャルナークから大した話も聞かず、クロロは黙って私を眺めている。


「あの、突然すみません。わたし、危害を加える気はなくて、ちょっと話を聞いてもらいたくて…」



何から話始めたらいいか解らず、おどおどしてしまう悪い癖が出てきた。

こんなんじゃだめだ、しっかりしないと…



「話?ここに来た目的は話がしたいだけなのか?」

「う、はい…一先ずはそうです。」


「…一応その話、軽くは聞いたんだけどさ…多分この子」

シャルナークはそう言うと、人差し指で頭をトントンと叩くジェスチャーをする。


「…。」
私はちょっとショックで涙目になった。



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