【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第114章 114話
「今消えなかった?」
私も大概だが、シャルナークも驚きを隠せない様子だ。
質問に答えたいところだけど、一気に血圧が上がりすぎて目がグルグル回っている。
「きっききききき消え!消えましたすみません!」
「何?!落ち着いてよ!」
胸の前で両手の拳を合わせ、ぎゅっと全身に力が入っている私をゆっくり地面に降ろすと、シャルナークは三歩引いて距離をとってくれた。
”くれた”というのも、私的にその方が助かるから
ちょっとあんなの近すぎる…心の準備がとかそういうのもあるけれど、シャルナークをあの距離で見るのは無理
「はぁっ…ハァ…」
多分、落下直前に見えた場所へ瞬間移動したのだろう。
落ちてくるところをキャッチしようとしたら、いつの間にか腕の中に居たんだから…それは向こうも驚くよね
私の方は多少状況を把握できたが、とてつもない緊張で身体が動かない…
何とか地面から起き上がり、私は呼吸に必死になりながらも頑張って彼の方を見た。
「?」
そこには本当に本物のシャルナークが居て、大きな瞳が怪しそうにこちらを伺っている…。
ウソでしょ…
思わずため息をついて項垂れてしまった。
意識しすぎて、普通にやり取りできる気がしない。
ハンター試験に迷い込んで、初めてゴン達と会った時の事を思い出す。
闘技場でウイングさんと出会った時もそうだったし、何度経験してもこの初対面というイベントは慣れないな…
「念能力者なのは解ったけど、それ一体どういう能力?どうしてこんな所に居るのか答えてもらえるかな」
やっぱり、遅れて来るメンバー以外は、先に到着してたんだ…。
シャルナークが私を見つけたのは偶然?誰かの円か何かに引っかかった?
…って言うか、最初にオート転送した原因ってもしかして…。
「私にアンテナ…刺そうとしました…?」
青ざめた顔でへへっと気持ち悪い愛想笑いをする
ショックすぎてそんな顔しかできないでしょ、普通にいきなり攻撃されだんだ私…
その言葉に、シャルナークはひそめていた眉を上げた。
「どうしてそれを…」
そしてボソリと呟くと、私はまた視界が一変
「わあ!」
足場の悪い瓦礫の上では、オートで転送した時にうまく着地できない。
今は座っていたからいいものの、先ほどよりずっと高い場所に移動してしまった…。