【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第113章 113話
「名前!?大丈夫?!」
ゴンの声だ…
「はっ…はっ…、ズズ… ゴン…。ごめん、大丈夫」
「大丈夫じゃないよね?」
語気も強く、ちゃんと話してと説得するように聞き返された。
何て言えばいいのか解らず、ただすすり泣く息遣いだけが向こうに聞こえているだろう
「名前、今は安全?」
「はっ…ズズ…、…うん」
「そっか、どこにいるの?」
「先にヨークシンシティに着いてて…、公園のベンチに…」
「オレ達に、何ができる?」
しっかりした口調
ゴンの強くて優しい声
「ううん、もう平気。ゴンの声って凄いね…」
聞いただけで、落ち着いてきちゃった。
「本当?」「んなわけねーだろ!貸せ!」
「本当、驚かせてゴメン」
「いちいち謝んなよ。んで、さっさと何があったか言えよ。ちゃんと説明するまで切らねーからな」
今度はキルアが電話をかわると、彼も先ほどよりは少し落ち着いていて、声色からも心配してくれているのが伝わってきた。
「…ずずっ…、カストロさんが、亡くなったって聞いて…」
観念して一先ず言えそうな部分から打ち明けると「お前またそんな事で泣いてんのかよ」と呆れられてしまう
「いいからとりあえず鼻かめよ」
なんだか世話を焼かれしまってるな…こういう時のキルアってちょっとお兄ちゃんって感じがするよね…。
「うん、少しミュートにするね」
ずびびーっと鼻をかむと、なんだか心もスッキリした…
自分よがりで、恥ずかしくて、力が及ばない事が悔しい
やりたい事や望みが正しい事とは限らないと知って、どうしたらいいか解らなくなってしまった。
ゴン達に話すため、初めて気持ちを言語化してみて少し整理がついたかも…
向こうはスピーカーにしているみたいで、時々車の通る音などが聞こえてくる。
「それでいいよ」
さっぱりとゴンが言った