【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第96章 96話
「わたし!すっ…好きな人じゃないと…!けけ結婚できません…!!」
ぎゅっと目を瞑って勢いでそう言うとまあまあ大きな声が出た。
目を閉じた拍子に涙が溢れて、また泣いてしまったと気が付く
「それなら簡単だね、好きにさせてあげるよ。」
そう言うイルミの影が覆い被さるのを感じた。
その瞬間
視界が一転する。
気が付くと私は中庭の橋の上に座っていた。
状況がわからず「えっ?えっ??」と狼狽していると、遠くにいるイルミがこちらを怪訝な顔で見ているのが見える…。
まさか、イルミ
私に針を刺そうとした…?
だから私…オート能力で直前まで見ていた橋に移動したの!?
良かった…!そうだ、能力使えるんだった…!
会得しておいて良かった!オート設定しておいて良かった…!良かった良かった!!
自分の能力なのに、まさに役に立った事で興奮気味に感動してしまった。
状況を何とか理解してイルミを確認したら、こちらにツカツカと歩いて来ている事に気がついて
私は恐怖のあまり再び能力を発動してその場から逃げ出した。
「はぁ…!はぁ…!ん、はぁ…!」
「名前!?」
「オイ!なんだよいきなり!!」
視界には飛行船内の天井
私はゴンの所に転送したんだけど、どうやら飛行船での移動中だったらしく、2人の膝の上に横になる形で現れてしまったみたいだ。
なんだかすごい悪夢から目覚めた様な感覚だ。
仰向けのまま、全身に力が入り少し縮こまった体制で固まってしまっている。
2人には悪いけど、あまりにもパニクっていてすぐにはどけなさそう…
「ちょちょちょちょっと待って、本当にごめん…息が…」
ぜぇはぁと過呼吸気味の私を心配そうに見下ろすゴン
キルアは半ギレで、いつもと違う私の服装をヤジった。
こんな時くらい優しくしてくれたっていいじゃん!!
20230622